久々になんかノーマルっぽくいってみた。
思いつくままにオチも意味もない小ネタです。とうぜんヤマもありませんとも。


それでもよろしければどうぞ＾＾；；；

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「雨だー」
「雨だねえ」
「止みませんね～」
「止まないねえ」
「これじゃあ、折角景時さんお休みなのに、お洗濯も出来ませんね」
「う～ん、流石にこの天気じゃ干せないしね」

しとしとと降る冷たい雨を軒先から見上げた後、景時は苦笑を零して隣に立つ少女を見下ろした。

「でも、今は洗濯よりもどうやって濡れずに邸まで戻るかの方が重要かな」
「．．．それもそうですね」

敢えてスルーしていたところを指摘されて、望美はたははと笑って景時がしていたように空を見上げた。
雨雲は厚く、降る雨が止む気配は当分ない。
買い物の途中で降り出した雨から逃れる為に、近くの軒先に逃げ込んだのはいいが、そのまま足止めを喰らってもう半刻ほどになる。
通り雨である事を期待したのだが、それは儚い期待で終わりそうだ。
雨が降り出したことでぐんと下がった気温に、望美がぶるりと身体を震わせる。
その全てを見下ろして、景時は人差し指で頬を掻いた。
このまま此処に居ても事態は好転しないどころか、望美が風邪を引いてしまうだろう。
ここから邸までは走ればそう掛からずに済む。雨が降り出したことは当然邸で待っている朔も気付いているだろうから、濡れて戻ってくる望美の為に乾いた布や、もしかしたらもう湯も焚いて待っているかもしれない。
軒先から垂れてくる雫が今にも望美の服を濡らそうとしているのを、見かねて自分の方へと引き寄せて。

「か、景時さん？」
「濡れちゃうから。望美ちゃん、とりあえずこれ頭から被って」

荷物を落とさぬまま、器用に片袖ずつ脱いだ己の羽織を望美の上から被せて即席の雨避け代わりにして。

「此処に居ても雨、止みそうにないから。少し濡れちゃうけど走って邸まで帰ろう。着いたらすぐに着替えと温かい湯を用意させるから。幸い、濡れても困らない荷物ばかりだしね」
「で、でもそれじゃあ景時さんが濡れちゃいますよ！」
「大丈夫だいじょぶ～！　こう見えてオレも男だからね～。望美ちゃんよりは体力もあるし、まあ、濡れるのも慣れてるだろうし。君が少しでも冷えない事の方がよっぽど重要だよ」

にっこり笑って被らされた羽織の上から頭を撫でられてしまえば、それ以上遠慮するのも躊躇われて望美は頷いた。

「じゃあ、せめて帰ったら一番にお湯、使ってくださいね！　それは譲りませんから」
「はは、じゃあ湯を張った桶は二つ準備してもらわなきゃねえ」

濡れたままの望美を朔と譲が放っておくわけがないのだから、必然的にそうなるだろう。
景時は荷物を片手に纏めて持つと、余った右手を望美に向けて差し出した。

「それじゃあ、邸まで頑張ろうか」
「はい！　．．．あの、景時さん、これは．．．」
「道、雨でぬかるんでるから。滑ったら危ないでしょ～？」

もう片方の手は、羽織が落ちないようにしっかり掴んでてね。
笑顔のままで告げられて、手を引かれたと思った次の瞬間にはもう二人で雨の中。
望美を導くように少し前を行く背中を、そこにある距離を、温かな手が繋ぐ。

「～～♪　～～～♪」

雨音に紛れて、微かに届いた歌。
周囲に人影はなく、出所は勿論望美の前方。
まさかと思った望美の驚きを、繋いだ手から感じ取ったわけでもないだろうが、景時が少しだけ振り向いて照れたように笑った。

「本当はね、オレ、結構雨も好きなんだ」
「そうなんですか？　お洗濯、出来ないのに」
「ん～、それはそうなんだけどね。ま、それとは別枠ってことで」

そう言う景時の横顔は、確かになんだか穏やかで。
握った手も、不思議といつまでも雨で冷やされなかったので。
望美は走りながら、景時に向かって声を上げた。

「私もっ、景時さんと一緒なら、雨だって好きですよ！」

その声に景時の返事はなかったけれど。
見上げた耳が少しだけ赤くなって、望美の手を握るそこに、ほんの少し力が加わったから。
とりあえず今はそれ以上の追及をしないでやろうと、望美はくすりと笑ったのだった。



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何も考えずに書いたら、ほのぼのっていうか、甘くなった。
これが最初は、景時が雨好きな理由が暗い系だったなんて．．．不思議不思議！←
流石神子パワーです☆
これ、相手が望美じゃなかったら、完全シリアス暗いモードだったなｗｗｗｗ