同人サークル「天泣道化」なんてやってるかもしれない冴夜木ヤトによる、気の向くまま萌えの向くままの、とっても腐女子向けなブログ。
参加イベント情報とか発行物情報とかが載るかもしれない。
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タイトルの通り、昨日の続きです。
相変わらず短め~。
相変わらず短め~。
***
将景へのお題:どんなにかっこわるくても。/(まだ残ってる、)/なきわらい http://shindanmaker.com/122300
>>(まだ残ってる、)(夏・熊野)
脳天からじりじりと全身を焼き尽くすような夏の日差しを避けるように、まだ早朝のうちから景時は宿の外へ出た。
勝浦が市で賑わうにもまだ少し早い時刻。
海から吹きぬける風はほんの少しの清涼と強い潮の香りを引き連れて、羽織の裾をはためかせる。
心地好さと同時に、そこに含まれる潮と身体から少しずつ出ていく汗とが不快感も連れてくるのは仕方のない事だ。
「動くと、どうしたって暑いからなあ」
夏は暑いものだ。
至極当たり前の結論に肩を竦めて少し重たい身体を進める。
どれくらい歩いたか、風から潮の香りが薄れ、代わりのように緑の息吹を感じる頃、景時の目の前に現れたのは那智大社だった。
「......そういえば、ゆっくり見るのは初めてだな」
離れた場所から大社全体を視界に映すようにして、景時の目が懐かしげに細められた。
別段この大社そのものに思い入れがある訳ではない。
ただ、聞いた時から一度は訪れてみたいと、そう思っていた場所ではあった。
訪れる日が来るとは思ってもいなかったけれども、熊野まで来てしまえば興味を遠ざける事は出来ず、こうしてひっそりと早朝から足を運んだのだ。
『あれには、私が手ずから植えた楠がある。いずれ大きくなった頃には、ぬしと見たいものだの』
思い出そうとすればいつでも思い出せるほどにはしっかりと心に刻まれた人との過去。
その思い出は普段は厳重に心の奥底に仕舞われているのだが、時折ふと顔を覗かせては景時を惑わせる。
最大のきっかけとなっているのは勿論、今はもう失われた人に良く似た青年の存在だろう。
「この時世に、先の約束など何の保証もないと知っていたはずなのに、それでもどうしてか...貴方が言うなら叶う気がしていた」
それが果たされなかったからと言って、故人を責めるつもりは毛頭ないが、そんな風に思えたかつての自分の幼さを、今でも愚かだと笑うことが出来ない。
なぜなら、それ以上進もうとしない足は、果たされない約束を律儀にも守るつもりでいるらしいから。
(まだ残ってる、貴方への想い。きっと一生残る、貴方への想い)
それを抱えたまま生きることを、辛いとは思わない。
あの出会いがなければ、今の自分はなかった。
将臣とたとえ一時であろうと寄り添う現在など、考えられなかった。
今はただ、二度目の別れに耐えられる位に自分の心が図太い事を、景時は願う。
視界の先にある那智大社、その造営に携わったかの人に。
たとえもう出会えなくても、生きてさえいてくれるのならばそれだけでいいから、と。
そっと上げた手を羽織の襟元に寄せて、触れた熱を思い出す。
今頃はまだぐっすり眠っているだろう愛しい面影を。
「...大丈夫。きっと、大丈夫」
根拠のない言葉を繰り返して言い聞かせる。
(まだ残ってる、この熱を。ずっと忘れないから)
その想いを抱いて、オレはオレの道を行くよ。
君が君の道を行くように。
next>>なきわらい
将景へのお題:どんなにかっこわるくても。/(まだ残ってる、)/なきわらい http://shindanmaker.com/122300
>>(まだ残ってる、)(夏・熊野)
脳天からじりじりと全身を焼き尽くすような夏の日差しを避けるように、まだ早朝のうちから景時は宿の外へ出た。
勝浦が市で賑わうにもまだ少し早い時刻。
海から吹きぬける風はほんの少しの清涼と強い潮の香りを引き連れて、羽織の裾をはためかせる。
心地好さと同時に、そこに含まれる潮と身体から少しずつ出ていく汗とが不快感も連れてくるのは仕方のない事だ。
「動くと、どうしたって暑いからなあ」
夏は暑いものだ。
至極当たり前の結論に肩を竦めて少し重たい身体を進める。
どれくらい歩いたか、風から潮の香りが薄れ、代わりのように緑の息吹を感じる頃、景時の目の前に現れたのは那智大社だった。
「......そういえば、ゆっくり見るのは初めてだな」
離れた場所から大社全体を視界に映すようにして、景時の目が懐かしげに細められた。
別段この大社そのものに思い入れがある訳ではない。
ただ、聞いた時から一度は訪れてみたいと、そう思っていた場所ではあった。
訪れる日が来るとは思ってもいなかったけれども、熊野まで来てしまえば興味を遠ざける事は出来ず、こうしてひっそりと早朝から足を運んだのだ。
『あれには、私が手ずから植えた楠がある。いずれ大きくなった頃には、ぬしと見たいものだの』
思い出そうとすればいつでも思い出せるほどにはしっかりと心に刻まれた人との過去。
その思い出は普段は厳重に心の奥底に仕舞われているのだが、時折ふと顔を覗かせては景時を惑わせる。
最大のきっかけとなっているのは勿論、今はもう失われた人に良く似た青年の存在だろう。
「この時世に、先の約束など何の保証もないと知っていたはずなのに、それでもどうしてか...貴方が言うなら叶う気がしていた」
それが果たされなかったからと言って、故人を責めるつもりは毛頭ないが、そんな風に思えたかつての自分の幼さを、今でも愚かだと笑うことが出来ない。
なぜなら、それ以上進もうとしない足は、果たされない約束を律儀にも守るつもりでいるらしいから。
(まだ残ってる、貴方への想い。きっと一生残る、貴方への想い)
それを抱えたまま生きることを、辛いとは思わない。
あの出会いがなければ、今の自分はなかった。
将臣とたとえ一時であろうと寄り添う現在など、考えられなかった。
今はただ、二度目の別れに耐えられる位に自分の心が図太い事を、景時は願う。
視界の先にある那智大社、その造営に携わったかの人に。
たとえもう出会えなくても、生きてさえいてくれるのならばそれだけでいいから、と。
そっと上げた手を羽織の襟元に寄せて、触れた熱を思い出す。
今頃はまだぐっすり眠っているだろう愛しい面影を。
「...大丈夫。きっと、大丈夫」
根拠のない言葉を繰り返して言い聞かせる。
(まだ残ってる、この熱を。ずっと忘れないから)
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プロフィール
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ヤト
性別:
非公開
職業:
なんとか人間。
自己紹介:
遙か3の景時と4の風早中心に、腐女子的に萌え萌え言ってる人のブログです。
腐女子以外にはあまり優しくない内容が多くなると思われますので苦手な方はご注意ください。
遙か中心ネオロマ特化SNS「遙紅花街」にも生息中。御存知の方はお気軽にお声掛けてくださいませ^^
なお、プロフ画像はシノさんから頂いた頼朝様と景時。可愛くてハァハァするんだぜ!^q^
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なお、プロフ画像はシノさんから頂いた頼朝様と景時。可愛くてハァハァするんだぜ!^q^
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