同人サークル「天泣道化」なんてやってるかもしれない冴夜木ヤトによる、気の向くまま萌えの向くままの、とっても腐女子向けなブログ。
参加イベント情報とか発行物情報とかが載るかもしれない。
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これでラスト~!
次は手が空いたら、先日言ってた平家景時で湛快×景時ネタとか考えてみたいなあ。
という、妄想だけw
次は手が空いたら、先日言ってた平家景時で湛快×景時ネタとか考えてみたいなあ。
という、妄想だけw
***
将景へのお題:どんなにかっこわるくても。/(まだ残ってる、)/なきわらい http://shindanmaker.com/122300
>>なきわらい(冬・現代)
「終わったな」
「終わったね」
「...もうすぐだな」
「...もうすぐ、だね」
降る雪を見つめながら、有川家のリビング、ラグマットに並んで座る大きな図体二つ。
他の仲間が居れば邪魔扱いされそうなものだが、どんな偶然なのかリビングには二つの影しかない。
しんと静まり返った家の中、どうやら残っているのは遅くまで寝ていた将臣と、急に振り出した雪に慌てて洗濯物を取り込んだ景時だけらしい。
暖房も入れずに、将臣が淹れたホットチョコレートのマグをそれぞれ両手に持って、何となくくっついて座る。
「...もうすぐ、か」
改めて呟かれた言葉に、景時は穏やかに微笑んだ。
「こんな結末は予想してなかったけれど、でも、悪くないよ」
「そうか?」
「そうだよ。何もかもが終わった訳じゃないけど、少なくとも和議は結ばれる。君達は君達の世界に戻って来られたし、荼吉尼天もいなくなった。後はオレ達の仕事が残ってはいるけれど...」
君の大切なものは失われなかったし、君も死ななかった。
それ以上の僥倖があるだろうか。
甘く優しい味のホットチョコレートと同じように、優しいこの世界で、容易く命を脅かされることなく将臣達は生きていける。それだけでも景時にしてみれば望んだ以上の結末だ。
「景時」
「もう、君は武士として生きなくていい」
それは、武士として死ななくていいということ。
「景時」
「オレも、安心して向こうに戻ることができるよ」
将臣の呼ぶ声が聞こえていないかのように、景時はそう言って微笑む。
「泣くなよ、景時」
「泣いてないよ。どこが泣いてるの」
突然の言い様に、苦笑に変えた笑み。視界ははっきりしているし、涙がこみあげてくる時のような、鼻の奥がツンとする感覚だってない。
そもそも、生理的に流す涙以外に、もう何年も涙など流したことがない。
それともここは嬉し涙を流した方が良かったのだろうか、と馬鹿な事を考えて、景時はもう一度笑う。
その頭をいささか乱暴に将臣が伸ばした腕で抱き寄せた。
ごつ、と軽くはない音がして頭と頭がぶつかったのを知る。
「将臣くん、痛い」
「石頭なのはお互い様だろ、だから泣くな」
いや、違うな。泣いてもいいけど、そういう泣き方はやめろ。見てるこっちが痛い。
ぶつぶつと唸るように零された言葉に、景時はただ首を傾げる。
「将臣くん?」
「頼むから、泣いてるような顔で笑うな。今更俺の前で取り繕うなよ景時」
泣くならいっそ、盛大に泣き喚いたっていいから。
まるで泣くことが決まっているかのように、そう言って景時の頭は将臣の胸元に押し付けられた。
慌てて手にしたマグを床に置いて、どうにかバランスを保った景時の背中を、残った方の腕でぽんぽんとあやすように叩く将臣は、いつの間にマグを置いたのだろう。
やけに冷静にそんな事を考えながら、頭を押し付けられた先、将臣の赤いシャツの皺を見つめて、触れた部分から伝わる温度を感じる。
「...泣いてないよ」
「ああ」
「...泣かないよ」
「ああ」
「だって、泣かなきゃいけないことなんて、一つもないんだから」
「ああ」
「だから、君もオレとの事なんか忘れて、こっちで、ちゃんと...幸せになってよ」
「......」
同じように返ってくるはずの相槌の代わりに、与えられたのは無言。
「...将臣くん?」
なんで「ああ」って言ってくれない?
安心して向こうに戻れなくなるじゃないか。
不満を零す前に、頭を押さえる手が強くなった。
「お前は、忘れられんの?」
「...え」
「お前は、あっちに戻ったら俺のことなんか忘れて、幸せになれんのか?」
「.......」
忘れない、と決めた。あの日那智大社を前にして。
どんなに痛くても、全部持っていこうと。
それでも。
「...いつかは、優しい思い出になるよ」
思い出すという事は、普段は忘れているということだ。
たとえば、あれほどに心を傾けた人の事を、景時が普段は思い出さないように。
「俺はそんな思い出にする気はねぇよ」
「将臣くん...」
固く、意思の籠もった声が降る。
「掴める幸せを見逃して、あとでさもいい思い出、みたいにするのは卑怯な逃げ方だろ」
「それは、」
「あっちでの戦いが、こんな予想外の結末に辿り着いたんなら、この先だって望めば幾らでもあるはずだろ、お前が予想しない結末が」
「そんなの...っ」
期待はしない。
すれば、傷つくだけだ。
最初から期待しなければ、無用に傷つかなくて済むのに。
「景時」
「ないよ、予想しない結末なんて...もう、必要ないよ」
予期せぬ痛みより、判っていた痛みのほうがやり過ごせる。
最初から備えて、構えて、やがてそれがやってきても予想通りだ、しょうがなかったと受け入れられる。
「かげとき」
頑是無い子供をあやすように呼ばれた己の名に、景時は触れる体温にしがみ付いた。
顔を上げないまま、いやいやと首を振る。
一緒に来て、とは言えない。
こちらに残る、とも言えない。
此処で、お互いの住む世界に別れる。それが一番なのだと言い聞かせる。
熱に浮かされたように、想いだけで走れるほど若くも、子供でもない。
景時は判っている。
その身に負う望まぬ重責も、将臣の持つ手放せないしがらみも。
判っているから、その時が来れば手を離すことは決めていた。
その想いを揺らがせてはいけないのだ。
「かげとき」
困ったような声が、呼ぶ。
もしかしたら、将臣こそが笑っているのかもしれない。泣きそうな顔で。
そう思いながらも、景時はひたすらに考えていた。別れの言葉だけを。
温かな体温からこの手を離すこともできないくせに。
そう囁くもう一人の自分に気付きながら、なきわらいを浮かべたままで。
沈黙が落ちた部屋の中。
しっかりと触れ合った両手だけが、二人の本音を何よりも示していた。
>>END
というわけで、煮え切らない終わりを目指してみました←
二人がどういう結論を出して、どうなったかは、ご自由に想像くださいww
実際、景時が景時であるゆえんは、彼のどこまでも普通の人間らしい心とか弱さだと思うので、選べないと思うんですよね~そう簡単に。
なんせ迷宮愛憎版の後日談だってああいうネタだったわけだしwww
というのを意識した仕上がりにしてみた次第です。
そういうことにしておいてください←←
あと、当たり前のように重景前提なのは、私なのでしょうがないと思ってくだs(ry
もしも最後までこんなテンション低め連作にお付き合い下さった方がいらっしゃいましたらありがとうございましたー!
将景へのお題:どんなにかっこわるくても。/(まだ残ってる、)/なきわらい http://shindanmaker.com/122300
>>なきわらい(冬・現代)
「終わったな」
「終わったね」
「...もうすぐだな」
「...もうすぐ、だね」
降る雪を見つめながら、有川家のリビング、ラグマットに並んで座る大きな図体二つ。
他の仲間が居れば邪魔扱いされそうなものだが、どんな偶然なのかリビングには二つの影しかない。
しんと静まり返った家の中、どうやら残っているのは遅くまで寝ていた将臣と、急に振り出した雪に慌てて洗濯物を取り込んだ景時だけらしい。
暖房も入れずに、将臣が淹れたホットチョコレートのマグをそれぞれ両手に持って、何となくくっついて座る。
「...もうすぐ、か」
改めて呟かれた言葉に、景時は穏やかに微笑んだ。
「こんな結末は予想してなかったけれど、でも、悪くないよ」
「そうか?」
「そうだよ。何もかもが終わった訳じゃないけど、少なくとも和議は結ばれる。君達は君達の世界に戻って来られたし、荼吉尼天もいなくなった。後はオレ達の仕事が残ってはいるけれど...」
君の大切なものは失われなかったし、君も死ななかった。
それ以上の僥倖があるだろうか。
甘く優しい味のホットチョコレートと同じように、優しいこの世界で、容易く命を脅かされることなく将臣達は生きていける。それだけでも景時にしてみれば望んだ以上の結末だ。
「景時」
「もう、君は武士として生きなくていい」
それは、武士として死ななくていいということ。
「景時」
「オレも、安心して向こうに戻ることができるよ」
将臣の呼ぶ声が聞こえていないかのように、景時はそう言って微笑む。
「泣くなよ、景時」
「泣いてないよ。どこが泣いてるの」
突然の言い様に、苦笑に変えた笑み。視界ははっきりしているし、涙がこみあげてくる時のような、鼻の奥がツンとする感覚だってない。
そもそも、生理的に流す涙以外に、もう何年も涙など流したことがない。
それともここは嬉し涙を流した方が良かったのだろうか、と馬鹿な事を考えて、景時はもう一度笑う。
その頭をいささか乱暴に将臣が伸ばした腕で抱き寄せた。
ごつ、と軽くはない音がして頭と頭がぶつかったのを知る。
「将臣くん、痛い」
「石頭なのはお互い様だろ、だから泣くな」
いや、違うな。泣いてもいいけど、そういう泣き方はやめろ。見てるこっちが痛い。
ぶつぶつと唸るように零された言葉に、景時はただ首を傾げる。
「将臣くん?」
「頼むから、泣いてるような顔で笑うな。今更俺の前で取り繕うなよ景時」
泣くならいっそ、盛大に泣き喚いたっていいから。
まるで泣くことが決まっているかのように、そう言って景時の頭は将臣の胸元に押し付けられた。
慌てて手にしたマグを床に置いて、どうにかバランスを保った景時の背中を、残った方の腕でぽんぽんとあやすように叩く将臣は、いつの間にマグを置いたのだろう。
やけに冷静にそんな事を考えながら、頭を押し付けられた先、将臣の赤いシャツの皺を見つめて、触れた部分から伝わる温度を感じる。
「...泣いてないよ」
「ああ」
「...泣かないよ」
「ああ」
「だって、泣かなきゃいけないことなんて、一つもないんだから」
「ああ」
「だから、君もオレとの事なんか忘れて、こっちで、ちゃんと...幸せになってよ」
「......」
同じように返ってくるはずの相槌の代わりに、与えられたのは無言。
「...将臣くん?」
なんで「ああ」って言ってくれない?
安心して向こうに戻れなくなるじゃないか。
不満を零す前に、頭を押さえる手が強くなった。
「お前は、忘れられんの?」
「...え」
「お前は、あっちに戻ったら俺のことなんか忘れて、幸せになれんのか?」
「.......」
忘れない、と決めた。あの日那智大社を前にして。
どんなに痛くても、全部持っていこうと。
それでも。
「...いつかは、優しい思い出になるよ」
思い出すという事は、普段は忘れているということだ。
たとえば、あれほどに心を傾けた人の事を、景時が普段は思い出さないように。
「俺はそんな思い出にする気はねぇよ」
「将臣くん...」
固く、意思の籠もった声が降る。
「掴める幸せを見逃して、あとでさもいい思い出、みたいにするのは卑怯な逃げ方だろ」
「それは、」
「あっちでの戦いが、こんな予想外の結末に辿り着いたんなら、この先だって望めば幾らでもあるはずだろ、お前が予想しない結末が」
「そんなの...っ」
期待はしない。
すれば、傷つくだけだ。
最初から期待しなければ、無用に傷つかなくて済むのに。
「景時」
「ないよ、予想しない結末なんて...もう、必要ないよ」
予期せぬ痛みより、判っていた痛みのほうがやり過ごせる。
最初から備えて、構えて、やがてそれがやってきても予想通りだ、しょうがなかったと受け入れられる。
「かげとき」
頑是無い子供をあやすように呼ばれた己の名に、景時は触れる体温にしがみ付いた。
顔を上げないまま、いやいやと首を振る。
一緒に来て、とは言えない。
こちらに残る、とも言えない。
此処で、お互いの住む世界に別れる。それが一番なのだと言い聞かせる。
熱に浮かされたように、想いだけで走れるほど若くも、子供でもない。
景時は判っている。
その身に負う望まぬ重責も、将臣の持つ手放せないしがらみも。
判っているから、その時が来れば手を離すことは決めていた。
その想いを揺らがせてはいけないのだ。
「かげとき」
困ったような声が、呼ぶ。
もしかしたら、将臣こそが笑っているのかもしれない。泣きそうな顔で。
そう思いながらも、景時はひたすらに考えていた。別れの言葉だけを。
温かな体温からこの手を離すこともできないくせに。
そう囁くもう一人の自分に気付きながら、なきわらいを浮かべたままで。
沈黙が落ちた部屋の中。
しっかりと触れ合った両手だけが、二人の本音を何よりも示していた。
>>END
というわけで、煮え切らない終わりを目指してみました←
二人がどういう結論を出して、どうなったかは、ご自由に想像くださいww
実際、景時が景時であるゆえんは、彼のどこまでも普通の人間らしい心とか弱さだと思うので、選べないと思うんですよね~そう簡単に。
なんせ迷宮愛憎版の後日談だってああいうネタだったわけだしwww
というのを意識した仕上がりにしてみた次第です。
そういうことにしておいてください←←
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HN:
ヤト
性別:
非公開
職業:
なんとか人間。
自己紹介:
遙か3の景時と4の風早中心に、腐女子的に萌え萌え言ってる人のブログです。
腐女子以外にはあまり優しくない内容が多くなると思われますので苦手な方はご注意ください。
遙か中心ネオロマ特化SNS「遙紅花街」にも生息中。御存知の方はお気軽にお声掛けてくださいませ^^
なお、プロフ画像はシノさんから頂いた頼朝様と景時。可愛くてハァハァするんだぜ!^q^
腐女子以外にはあまり優しくない内容が多くなると思われますので苦手な方はご注意ください。
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なお、プロフ画像はシノさんから頂いた頼朝様と景時。可愛くてハァハァするんだぜ!^q^
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