同人サークル「天泣道化」なんてやってるかもしれない冴夜木ヤトによる、気の向くまま萌えの向くままの、とっても腐女子向けなブログ。
参加イベント情報とか発行物情報とかが載るかもしれない。
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久々に見返してたらなんとなく小ネタが書きたくなったので、単なる自己満足です。
過去に私が書いてたオリジナルを知ってる人だけが、もしも覚えてたら「ああ、あれのキャラか」と判る位の。
しかも、まだ終わってない話の終わった後の話www
過去に私が書いてたオリジナルを知ってる人だけが、もしも覚えてたら「ああ、あれのキャラか」と判る位の。
しかも、まだ終わってない話の終わった後の話www
*****
彼はいつだってふらりとやってくる。
そんな彼を、あたしはしょうがないなあと出迎えるのだ。
「それで、今日はどうしたの?」
「理由がなければ小さき友を訪ねてはいけないかな?」
「質問に質問で返すのは良くないって、小さい時に教わらなかったの?」
「さあ、随分昔の事すぎて忘れてしまったな」
あたしの突っ込みにも彼は嬉しそうに笑ってとぼけてみせるだけ。
確かに彼とあたしの年齢差は一般的に想像する赤子と老人の年齢差のそれより大きい。
というかそれを言い出したら彼より高齢な存在など、今のこの大陸に片手もいるかどうかなんだけど、そういう事じゃないでしょ。
なんでか判らないけれど、彼はあたしに怒られるのが嫌いじゃないらしい。
そんな事は、一緒に旅をしていた時には気付かなかったしそんな余裕もなかったけれど。
今こうして、彼の庇護下にある国の片隅でのんびりと暮らすあたしと養い親の元へ、なんの前触れもなしに突然ふらりとやってくる彼は、そうやって怒られる事を楽しみにしている節さえある。
「もう、しょうがない王様だなあ」
「そう言いながらもてなしてくれる君は相変わらず良い子だ。アダンの教育の賜物かな」
「持って生まれた性格ですー!」
「ははは、そうかそうか。ああ、いい香りのお茶だ。王宮のものに引けをとらない」
「またそんな嘘言って」
「嘘ではないとも。あそこは堅苦しい。特に、ユグス殿がね」
お茶一つ私の元に運ばれてくるまでの間に、毒見だなんだとどれだけかかることか。
冷めたお茶は美味しくないんだ。
どこか拗ねたような顔でぼやくのは、どう見ても教会と渡り合った剛毅な古の王様には見えない。
「...もしかして、それで抜け出してきたの?」
「.........それだけではないが。単純に、君達が元気か見に来ただけなのだがね。最近は忙しくてあまり出歩けなかったから」
普通、そういうのって部下とか配下とか、何かそういうものがするとか、手紙を寄越すとか、そういう対応じゃないんだろうか。
とは言え、あたしも他にこんな高貴で気安い知り合いはいな...くもないけれど、彼ほど高貴な知り合いはいない訳で、どうなったら普通なのか判らないんだけど。
そもそも、最初から彼は規格外の王様──出会った頃はまだ王子様──だったのだから、今更普通を説くのが間違いなんだろうか。
「はいはい。それならもうそう言う事にしておいてあげるから、迎えの人が来たらちゃんと謝って帰りなよ、王様。迎えに来なかったら、ちゃんと王宮までついていって一緒に謝ってあげるから」
「はは、かたじけない」
そう言って、彼はやっぱり嬉しそうに笑うのだ。
だから、あたしは言わない。
彼が、あたしに誰を見ているのか。何を思い出しているのか。
そんな事は些細な事だ。
だって、あたしはあたしで。
もう、なんの力も持たないただの小娘で。
彼だって、本当はそんなことちゃんと判っているって知っているから。
ただ、たまにこうして過去に浸りたい時があるのだと知っているから。
『すまねぇが、たまにでいい、あいつのこと甘やかしてやってくれるかいお嬢ちゃん』
リュキエラ様からそう言われたのは、もう随分前だけど、言われなくても多分あたしはそうした。
それくらいには、あたしは彼を好きだったし、きっと死ぬまで好きだろうから。
最後まで、彼にとって歳の離れた良き友人でありたいから。
彼も、そう思ってくれていると信じているから。
「...っていうか、今気付いたんだけど、もしかしてレマさんまで置いてきたの?」
いつもなら彼の一番近くにいて、あれやこれやと口うるさい母親役のような存在を思い出して、それが彼の傍に姿を見せないことに気付いて問えば、無言の笑顔が返ってくる。
間違いない。
この男、レマさんまで出し抜いて遊びに来たんだ。
今頃城で半狂乱になって涙目でリュキエラ様に泣きついて王様を捜しているレマさんの姿が容易く想像出来て流石に可哀想になった。
王様以外基本どうでもいいと思ってそうな──実際そう思っているに違いない行動をこれまでに多々見てきたわけだが──そんな彼まで何も言わずに置いてくるなんて。
「本当にしょうがない王様なんだから」
「よく言われるよ。だがこれが私だから、もう慣れてもらうしかないだろう?」
そうだ、慣れてもらうためにも、こうしてわざと何も言わずに抜け出しているんだ、と手を打って言う彼の頭を思わずはたいた。
いかにも言いながら思いついた、とってつけた言い訳過ぎる。
「...痛いんだが、ラキスタ?」
「痛くしたのよ、ハーレイ」
敢えてかつて使っていた偽名で呼んでやれば、ようやく少しだけばつの悪い顔を見せたからすっとした。
「王様、手を出して」
言えば、不思議そうに首を傾げながらも手を差し出す。
その手は右手。
両利きの彼だけれど、敢えて利き手を問うならば右手。その大事な手を惜しげもなく差し出す彼の気持ちが嬉しい。だけど少し悲しい。
その思いはあまりに我が儘すぎるので彼に伝えるつもりはないけれど。
「これ、あげる」
差し出された掌の上に、ポケットから取り出したキャラメルを数粒落とす。
「...キャラメル?」
「そ。王様にはあんまり珍しくないものかもしれないけど。この前リュキエラ様が砂糖を沢山分けてくださったから、作ったの。王様にもあげる」
「ラキスタの手作り?」
「そ」
「それは嬉しいな。料理、上手くなったものだ」
「うっさいあの頃の事は忘れろ!」
彼と旅をしていた頃、あたしはまったく料理が出来なかったから、いつも彼が作ってくれた。あるいはリュキエラ様やレマさんが一緒になってからは、彼らが作ってくれることもあった。
恐れ多くもリュキエラ様の手料理を頂いた事のある庶民なんて、私以下、数えるほどしかいないだろう。そして、王様に料理を作らせた女も。
料理の上手い保護者がいると、作れなくても問題ないんだけど、大きくなるとそれが問題なんだとつくづく思って今のあたしは鋭意修行中なのだ。
「...うん、美味い。ちょっと焦げた味がするところとか」
「...喧嘩売ってんのなら買うよ?」
「いやいや、本当に美味いと思っているさ」
嬉しそうに、外見はともかく、実年齢イイ歳どころかおじいちゃんを通り越してる相手がキャラメルを頬張る様は可愛かったので、振り上げた手は大人しく元の場所に下ろすことにした。
あたしだって別に暴力好きなわけじゃないし。
むしろ基本的に温厚なんだから。多分、親しい相手だけが別枠なだけで。
「残りもあげるから、帰ったらちゃんとそれで仲直りしなよね」
いらいらしてる時にも、糖分を取ったらちょっと気持ちは和むだろうから。
代わりにしっかり釘を刺したら、王様は目を瞬かせて。
それから、情けない顔で笑って頷いた。
もう、大人ってやつは本当にしょうがない生き物だ。
彼らがもうちょっと仲良くなったら、その時はこっそりユグス様に今日の事を教えてあげようと思って、あたしも笑った。
>>
終わった後は、更に仲良しになってくだけたお付き合いしてる予定の二人。
でもノット恋人。
一生の良き友人。
この後、きっとレマがやってきて修羅場www
帰ってリュキエラに呆れられ、ユグス殿に雷落とされて第二の修羅場(笑)
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ヤト
性別:
非公開
職業:
なんとか人間。
自己紹介:
遙か3の景時と4の風早中心に、腐女子的に萌え萌え言ってる人のブログです。
腐女子以外にはあまり優しくない内容が多くなると思われますので苦手な方はご注意ください。
遙か中心ネオロマ特化SNS「遙紅花街」にも生息中。御存知の方はお気軽にお声掛けてくださいませ^^
なお、プロフ画像はシノさんから頂いた頼朝様と景時。可愛くてハァハァするんだぜ!^q^
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