忍者ブログ
同人サークル「天泣道化」なんてやってるかもしれない冴夜木ヤトによる、気の向くまま萌えの向くままの、とっても腐女子向けなブログ。 参加イベント情報とか発行物情報とかが載るかもしれない。
 363 |  362 |  361 |  347 |  360 |  359 |  358 |  357 |  356 |  355 |  354 |
Posted : 2024/05/17 16:11
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted : 2011/06/16 01:15
本当に湛快さんは出てくるんだろうかとか、絡むんだろうかとか不安になりつつあるなんて、そんなのはここだけの秘密ですよ?←

...と言い置いて、続きです(笑)
そろそろ景時のモノローグみたいな状態から抜け出したいww


***


「それでは、そちらの件についてはよろしくお願い致します」
「ええ、重盛殿が戻られるまでに、良いように計らっておきましょう」

経正の返事に頷いて、景時はそれでは、と立ち上がる。
重盛が不在の間の何度目かのやりとりは、常と同様にそれで終わるはずだったが、場を辞そうとした景時を経正が呼び止めた。

「梶原殿」
「はい?」
「重盛殿が不在だからといって、一人で根を詰めすぎてはいないかい? ここのところ顔色が優れぬように見受けられる。今は急ぐ案件もさしてない時期。君も少し肩の力を抜いて休める時に休んでおいた方がいい」

敬語が抜けた言葉は、公の立場というよりは重盛を通して親しくなった年下の友人への気遣いに満ちていた。
だから景時も、心配させぬようにと作りものでない笑みを浮かべる。

「有難う御座います。これで少し手が空くはずなので、暫くはゆっくりとするように心掛けます」
「戻って来た時に君の調子が優れぬのでは、重盛殿も心配されるだろうからね」
「─っ、いつお戻りになるか御存知なのですか?」

思わず問い返した景時の勢いに、経正は少し驚いたような顔をした後で申し訳なさそうな笑みを浮かべた。

「勘違いさせてすまない。私もいつ頃戻られるかは聞いていないんだよ。二月経たぬうちには戻るつもりだ、と仰っていたことは存じているが...それは、多分君も知っているだろう?」
「ああ...、そう、ですね」

確かにおおよその目安となる期間は出立前に告げられていたが、旅の道行きに何があるか判らない以上、それは本当に目安でしかない。例えば天候が悪ければ帰還が伸びる可能性もある。
気落ちしたように肩を落とした景時を不憫に思ったのか、経正は慰めるような言葉を二言三言掛けて、その手に「内緒だよ」と大陸からの珍しい菓子を乗せて送り出してくれた。


「...気を、遣わせてしまった...」

重盛の屋敷に戻りながら、手にした小さな包みを見下ろして溜息を吐く。
これではまるで経正の歳の離れた弟と同じ扱いではないだろうか。
同列に見られた事を嘆くよりは、そう見られるような態度をとってしまったらしい自分が恥ずかしい。
顔色の悪さを指摘された事も含めて、自己管理の未熟さを思い知る。

「次にお会いする時には心配を掛けぬようにしないと」

顔色の悪さは自覚していなかったが、そうなる理由には思い当たる事があった。
重盛がいなくなってから、眠りが浅い。
全く眠れない訳ではないが、些細な物音で目が覚めたり、一度目を覚ますと眠れないまま朝を迎えたりしているから、その影響が出ているのかもしれない。
つい先日も、立ち上がり様に足元をふらつかせてしまったばかりだ。
日中に眠くてどうしようもないという事態には陥っていない為、気にしていなかったのだが、他人に指摘されるのなら気をつけなければいけないだろう。

「...って、言っても...」

どうやって気をつければいいのかは、皆目検討がつかないのだが。
何となく重い足取りのまま重盛の屋敷まで帰りつき、門番に声を掛けて中に入る。
手と足を洗い、屋敷に上がって自室に戻り文机の上に経正からもらった菓子を置いてもう一度立ち上がる。

「ぐっすり寝るのには疲労がいい、ような気がする」

文机の脇にある、まだ返事を書ききれていない書状には気付かない振りで、景時は庭に降りた。
その手にしているのは木刀。
重盛の屋敷の一角には鍛錬用に整えられた場所があり、そこでなら幾ら稽古したところで庭の景観を損なわない。
時折重盛自身に稽古をつけてもらうこともあるその場所で、景時は手にした木刀を構えた。
刀を扱う事は得意ではないし、好きでもないが、だからといって鍛錬を怠るわけにもいかない。
陰陽師の修行を半ばで断念することになり、梶原の当主として生きねばならなくなった以上は、武士として恥ずかしくない程度に技術を身につけておかなければ、それもまた郎党からあれやこれやと言われる口実になる。
この機会に、剣を振るうのも悪くないだろう。

「...」

目を閉じて、呼吸を整える。
目の前に対峙する相手を思い浮かべて、景時は木刀を構えたまま一歩踏み込んだ。





「精が出るな」
「っ!?」

どれ位打ち込んだだろう。
突如掛けられた声に、景時は木刀を構えたまま視線を声のほうに向けた。

「よぅ、久し振りだなあ景時」
「湛快殿...?」

いつの間にか濡れ縁に腰掛けて景時の稽古を眺めていたのは、重盛の友人である男だった。
目を丸くして木刀を下ろす景時に、挨拶代わりのように軽く手を上げて湛快が立ち上がる。

「お前さんが刀を握ってる所は初めて見たが、意外といい動きするみたいじゃないか」
「有難う御座います。来ていたのなら声を掛けてくださればよかったのに」
「見てるのが楽しかったんだ。気にするな」

にっと豪快な笑みを浮かべられればそれ以上言い返すことも出来ず、景時は苦笑を零した。

「それで、今日はどうされたんですか? 重盛様なら生憎...」

神出鬼没のこの男が熊野別当職にあることを、景時は重盛から聞かされている。
そう気軽に単独で出歩ける身分ではないはずなのだが、湛快はたまにこうやって突然重盛の屋敷に現れては酒を飲み交わして帰っていく、ということを繰り返している為、景時とも浅くない面識がある。
折角来た所に重盛の不在を伝えるのは申し訳なかったが、いつ帰るか判らない以上待たせるわけにもいかない。
景時が済まなさそうに眉尻を下げるのに、湛快は知った風に頷いた。

「今不在だってんだろ? 知ってるさ」
「ではどうして...」
「実はこっちに来る途中に、偶然重盛殿にお会いしてな」
「え、重盛様に...ですか!? どこでお会いになったんですか!」

身を乗り出すようにして尋ねる景時に、まあ落ち着けと肩を叩いて。

「熊野まで足を伸ばすつもりでいたらしくてな。俺が熊野を出て暫くで道端でばったり、な」

実際には熊野の烏の報告で、湛快が重盛に会う道を選んだからなのだが、それを景時に教える必要はないので省く。

「そこでちょっと話し込んで、熊野に向かう用事は済んだと言うが、まだ足を伸ばさないといけない所があって帰れないと重盛殿は言うし、その割にいつも一緒にいるお前の姿が見当たらないから、小僧はどうしたんだと聞いたらな...」

その時の事を思い出しているのか微妙な表情を浮かべている湛快を、景時は一言一句聞き逃すまいと真剣な顔で見上げている。

「色々理由があって京で留守番を任せてきた。自分はもう暫く帰れないから京に向かう用事があるなら、そのついでに元気にしているか顔を見てきてくれと頼まれてなあ」
「重盛様に、ですか?」
「他に誰がいるってんだ。ああ、一緒にいた弟の...重衡、だったか。そいつも心配してたぞ。無理してないかってな」
「重盛様が...」
「それで、京での用事を済ませたついでにちょっと寄らせてもらったのさ」
「そうだったんですね。お手数をお掛けしました」

有難う御座いますと深々と頭を下げる景時に、気にするなと湛快は手を振った。
上げられたその顔が、少しだけ綻んでいるのは重盛の気遣いが余程嬉しかったのだろう。
湛快はその頭をぽんと撫でた。

「寄ったついでだ、少しお前さんに付き合ってやるか」
「え?」
「一人で型の練習ばっかりしてても張り合いがないだろう? もう一本木刀持ってきな。俺が稽古をつけてやるよ」
「湛快殿が、ですか」
「おうよ。ほれ、早く持って来な」
「は、はいっ」

目を白黒させながらも頷いて、ぱたぱたと走っていく景時を見送って、湛快は顎に手を当てた。

「...重盛殿がどういうつもりかはともかく、まあたまにはいいだろうさ」

『景時のこと、よろしく頼んだぞ湛快殿』

薄っすらとした笑みと、底知れない深い眼差しで紡がれた言葉をも思い返しながら、湛快は小さく溜息を吐いた。



>>続く


ようやく湛快さん出てきた!!
つまり、話としてはここからが本番って訳で...(笑)
やばい、日程的にイベントまでに終わらないwwww
しかもイベントまでにもう一回アップできるかできないか、という状況なんですけど続きどうするつもりか忘れそうで怖い^q^←

そして時間がないのでとりあえずアップ。見直しとか変なところ見つけたら後日修正するかもしれません←←

拍手

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (管理人しか読むことができません)
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
Admin / Write / Res
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新CM
[03/11 Deejay]
[03/11 Doc]
[06/05 華]
[06/05 ヤト]
[06/05 あさひ]
プロフィール
HN:
ヤト
性別:
非公開
職業:
なんとか人間。
自己紹介:
遙か3の景時と4の風早中心に、腐女子的に萌え萌え言ってる人のブログです。
腐女子以外にはあまり優しくない内容が多くなると思われますので苦手な方はご注意ください。

遙か中心ネオロマ特化SNS「遙紅花街」にも生息中。御存知の方はお気軽にお声掛けてくださいませ^^

なお、プロフ画像はシノさんから頂いた頼朝様と景時。可愛くてハァハァするんだぜ!^q^
バーコード
忍者アド
Copyright ©  天泣道化  All Rights Reserved.
*Material / Template by tsukika  *忍者ブログ [PR]