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同人サークル「天泣道化」なんてやってるかもしれない冴夜木ヤトによる、気の向くまま萌えの向くままの、とっても腐女子向けなブログ。 参加イベント情報とか発行物情報とかが載るかもしれない。
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Posted : 2025/04/21 08:45
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Posted : 2011/02/20 17:38
眠気に負けなかったら続きがアップできます...、頑張れ、頑張れオレ...っ。
↑とか書いておいて、結局頭働かず昨夜は断念しちゃったよオレは意気地なしだね!


そもそも今回メインで書こうとしたシーンに辿り着けてないとかどうなのか、って思ったけど、良く考えたら初陣書いてた時も、書こうとしたシーンに辿り着いたの3回目だった気がするから、成長してないって事ですね判ります^q^

というわけでちゃきちゃき書いてみよう!

前回はこちらから。

※例によって例の如く、平家景時は捏造かつBLなのでご注意を!


******



なんで気付かなかったんだ。
そんな簡単に癒える傷じゃないと、知っていたはずなのに。
知っている事と、本当に理解していることは違うなんて事、三年も前に学んだ筈だったのに。





将臣の説得の効果があったのかどうか。
監視の厳しさから諦めたのか。
そのどちらかは将臣にも判断がつかなかったが、あれから景時は自殺する素振りも見せず、出された食事を少量とは言え摂取しているようだった。
水差しの水も以前に比べれば消費されており、少しでも景時の体が生きる方向へ向いているのであれば喜ばしい事といえた。

「そろそろ、部屋を移す事を考えましょう」

これまでの状況を見て、皆で摂る朝餉の席で弁慶がそう告げる。

「じゃあ、景時さんに会えるんですかっ!?」

すぐさま反応したのは白龍の神子、望美だ。
ご飯の椀を置いて、身を乗り出すようにして弁慶に問いかける。
隣では朔が無言でこそあるものの、望美以上に様々な想いの籠もった視線を弁慶に投げかけている。

「いえ、それはもう少し先にした方がいいでしょう。心配している皆には悪いですが、まだそこまで奴の調子が戻った訳ではありません。それでも、あのように塗籠に閉じこもっている必要はなくなっただろう、という判断です」
「景時さん、もう大丈夫なんですか? 食事量もまだ十分とは言えませんけど」

毎日景時の為に胃に優しめの料理を別途作っている譲は、当然景時の食事量も把握している。
最初の頃に比べれば、戻ってくる器の中の料理の減りも増えてはいるが、それでも半分量に満たない程しか摂取出来ていない。それが一日一回程度だ。
このままでは体格、体力の維持は勿論、生命レベルで見ても安全とは言い難い。

「だからこそ、ですよ。ある程度景時の気持ちが安定したのなら、いつまでも光源の乏しい塗籠にいる方が回復には向かない。危険な真似をせず、促して食事を摂れる程度まで回復したのなら、後は普通に臥所で様子を見たほうが奴の気も紛れるでしょう。変化にも少しずつ身体を慣らしていかないといけませんからね」
「...本当に、大丈夫なのか?」
「大丈夫、だと思いたいがな。あいつ、昔っから滅多に「約束する」なんて口にしない奴だけど、その代わりそう言った事は必ず守ろうとする奴だったから。少なくとも俺が見てる前で危ない真似はもうしないと信じてるさ」

九郎の疑問に答えたのは将臣だ。
静かに語るその様子に皆の視線が向く。それに気付いて顔を上げると、安心させるように笑って。

「なぁに、俺達がついてんだ。時間はまだ必要かもしれねぇが、景時は大丈夫だ。だから、お前等もそれを信じて待っててやってくれよ」

誰よりもそう信じたいのは、ずっと景時を探していた将臣だろう。
その将臣の言葉に、集まった仲間達も静かに頷いた。



その日のうちに、景時は療養用にと調えられた臥所へと移った。
普段から使用していた景時の私室でないのは、まだ万が一を考えた上でだった。
知り尽くしている私室では、どこかに何かを隠れて持ち込まれていても気付けない。
その為、日差しの強すぎず、また調えられた庭を良く眺められる場所に部屋を一つ準備して、そこを療養場とした。
当然邸の主である景時もその部屋は知っていて、「オレなんかの為に、いい部屋わざわざ空けなくて良かったのに」と呟いていた。
部屋から出る際は必ず誰かが付き添うこと、と約束を取り付け、部屋の中とその前にある濡れ縁では自由に過ごして良い事を告げれば景時は素直に受け入れる。
夕暮れ近くなっての移動だったため、その日はそのまま景時を休ませ、翌日。

「よう景時。おはようさん」
「...ああ、将臣くん。おはよう」

景時には特別告げていないが、景時の部屋の隣は将臣が使う部屋になっている。その反対隣は今は弁慶が使っているはずだった。
毎晩のように魘されて眠る景時が、どれだけしっかりとした睡眠を確保出来ているのかは定かではないが、久し振りに明るい光の下で見た景時の顔は、想像以上に優れなかった。
すっかりやつれて、かさかさになった唇が、将臣の声に弱々しく持ち上げられて笑みを作る。
既に習い性になっているかのように反射的に作られる笑み。
こんなになっても、心配することなど一つもないのだというように。
それはやんわりと、拒絶するように。

「...調子、どうだ? 夜は眠れてるか?」
「はは、日中からずっと、横になってばかりだからね。十分過ぎるほど休ませてもらってるよ」

微妙に答えをはぐらかされた事には気付いたが、将臣はそうか、と頷いた。
体力が落ちているのだから当たり前だが、最低限の厠くらいしか景時は部屋の外に出ようとしない。勿論他の人間に出会うことを望んでいないせいもあるのだろうけれど、綺麗好きだった男にしてみれば嬉しくない状況のはずだ。それなのに景時は何も言わない。
そこまで考える余裕がないのか、それともやはりまだ死の誘惑が景時の周りを取り巻いているからなのかは将臣には判然としない。
景時が言い出さない代わりに、当然のように部屋に水桶と手拭いを運ぶ。それは塗籠に居た時と同様に。

「もうすぐ譲の飯が出来上がる頃だから、もうちょっとだけ待ってろよ」
「急がなくても、大丈夫だよ。...いつも、ありがとう」
「礼なんかいらねえよ。俺がしたくてやってんだ。感謝する気があるなら、景時が元気になってくれんのが何よりだ」
「......うん」

適度に絞られた手拭いを渡されて、景時が曖昧に微笑む。
肉が落ちて常よりほっそりとした手首は、簡単に折れてしまいそうで恐ろしい。
景時を取り巻く空気は未だに現世のそれではなく、すぐにも彼を彼岸へと運び去ってしまいそうだった。

「...たまには、一緒に食うか?」
「え?」

食べる、というのは生きるための行為だ。
自らの手で他の命を摘み取り、それを自らの命へと変える行為に他ならない。
それを見れば、景時が確かに生きている、生きようとしていることを感じられるのではないか。
そんな思いから、ふと将臣が零した言葉に、景時は目を見開いた。
その反応に僅かな不審を感じるが、将臣は景時の言葉を待つ。
暫くの逡巡の後、景時はようやっと口を開いた。

「でも、将臣くん、いつもみんなと一緒に食べてるでしょ? オレなんかと食べたって面白くもなんともないし...悪い、よ」
「別に俺は気にしねぇよ」
「君が気にしなくても、オレが、する。食べる量も、時間も、違うんだから...わざわざオレに合わせなくても、いいんだよ」

困ったように、申し訳なさそうに微笑まれてしまえば、それ以上強く押す理由も今はなく。
下手に景時の調子を崩すのも得策ではないかと、将臣はその場は引き下がった。

「じゃあ、お前がもーちょい食えるようになったら、一緒に食おうぜ」
「...それなら...、うん。判った、よ」

とりあえず取り付けた約束で、今は満足しておこう、と。
それを後悔するのは、すぐの話だったが。



「将臣君、ちょっといいですか」
「どうした?」

体力も気力も衰えている景時は、日中の大半を浅い眠りの中で過ごしている。
勿論そこには弁慶の処方する薬の効果もあるにはあるが、深い眠りを悪夢によって阻害されている事も大きいのだろう。
微睡みを享受する景時の寝顔をすぐ横で見つめていた将臣に、簀子から弁慶の声が掛かる。
顔を上げれば軽く手招きをされ、景時が眠っていることを確認して将臣は立ち上がった。
簀子に出て弁慶と顔を合わせれば、そのまま少し離れた場所まで誘導される。

「なんだ、悪い知らせか」

万が一にも景時に聞かれては困るような何かかと身構える将臣に、弁慶が頷く。

「恐らくは。...景時のことです」
「何があったってんだ、今度は」
「塗籠から出て以降、あまりに回復が遅い。いえ、そもそも塗籠に居た時から、目に見える回復をしていた訳ではなく、そこまでの厳しい安全管理が不要になったと判断したからの移動ではありましたが。...景時の顔を良く見ている君なら判るでしょう。このままでは遠からず目を覚まさなくなるほど衰弱してもおかしくない」
「...っ、それは...」

将臣も、思わないわけではなかった。
だが、あからさまな自傷行為がなくなったこと、それに僅かとはいえ食事を摂るようになったことで、その思いを遠ざけていたのだ。
このまま療養を続ければ、時間は掛かっても必ず良くなるはずだ、と違和感に目を瞑って。

「たまたまですが、景時の配下の者が見たそうです」
「何を、だよ」

聞きたくない情報に違いない。
だがここで耳を閉ざし、目を閉じることは出来ない。
手遅れになってからでは遅いのだ。

「君が食事を運んで、部屋から出て暫くした頃だと思います。濡れ縁に出てきた景時が、周囲の目を憚って庭に降りると、池に何かを捨てていた、と」

景時に悟られないくらい遠目から、しかもたまたま見えただけだったので、詳細は判らないと言う。
ただ、まさか今の景時がいきなり池の鯉に餌をやりにいくとも思えないし、万が一そうだとしてもその餌の出所はなんだ、という話になる。
可能性があるとすれば。

「飯、食ったふりして全然食べてなかったってことか...? でも、塗籠にいる時にはそんな事しようがないだろ、なんで今更...」
「景時の様子を見れば、食べた後で吐いていた可能性もありますよ」

確かに、初めて握り飯を口に入れた時にも、随分苦しそうではあった。
久し振りの固形物がきつかったのかと将臣は思っていたのだが、あれは純粋に食事を受け付けたくないが故の苦しみだったのか。
言われてみれば、景時が食事の後に厠を希望することは多かった。とは言えそれも一日に一~二度という少なさだったので、そう気にも留めなかったものだが、もしかして厠で戻していたのだろうか。
痛みと苦々しさを同居させたような表情の将臣に、弁慶も重々しい顔で被った外套の端に手を添えた。

「もっと、気を配るべきだったかもしれませんね。そもそも物分かりが良すぎた。あの男があれで結構な頑固者だと、僕達は知っていた筈なのに」
「まだ、やっぱりダメなのか。あいつ、死のうと思ってるのか...」
「少なくとも積極的にそうしようとまでは、していないでしょう。君との約束は奴の中で有効であるはずです。ですが、あれ程までに死を望んでいた以上、そう簡単に変えられるものでもない、と見ておくべきだった。努力はした。けれどどうにもならなかった。という辺りなら、君との約束を全面的に破る事にもならない。奴ならそれ位は抜け道として考え付いてもおかしくない」
「...っっ」

ぎり、と握りこんだ手の中、爪が食い込む。

騙したのか。
また、置いていこうとしたのか。
結局重盛には、勝てないのか。

どろりと濁った熱は、嫉妬以外の何物でもない。
それに、同じ位の悔しさ、寂しさ、そして虚しさ。
ただ生きて、傍に居て欲しい。たとえ景時にとっての一番が将臣でなくてもいい。
それだけの思いさえ、景時には重荷なのだろうか。

「将臣君...。とは言え、僕達が実際に現場を確かめたわけでも、景時に問い質したわけでもない。低いとはいえ違う可能性もあるかもしれません」

そればかりは景時に確認しなければ判らない。
まだ確定ではないのだと慰めるように続ける弁慶に、将臣はいつしか落としていた視線を上げて、口を開いた。

「なら、それは俺があいつに確かめる。ぜってぇ死なせねえ。そんな緩慢な死に方、認めてたまるか」

痛みを堪えて言い切った将臣に、弁慶は暫くの沈黙の後、頷いた。

「......判りました。とりあえずは君に任せます。ただし、君もあまり無理をしてはいけませんよ。思い詰めておかしな行動を取るくらいなら、その前に僕達に相談してください。いいですね?」

おかしな行動ってなんだよ。
そう言って笑おうとした将臣だったが、浮かんだのは歪な笑みだけだった。



>>続く


...っ、見事に辿り着かない終わらない。
次がようやく将臣と景時の食事シーンだとして...例のネタが盛り込まれるのって、その次くらいになるかもしれません、というやや私信←
無駄に長くなる癖をどうにかしたいんだぜ^q^

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なんとか人間。
自己紹介:
遙か3の景時と4の風早中心に、腐女子的に萌え萌え言ってる人のブログです。
腐女子以外にはあまり優しくない内容が多くなると思われますので苦手な方はご注意ください。

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なお、プロフ画像はシノさんから頂いた頼朝様と景時。可愛くてハァハァするんだぜ!^q^
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