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同人サークル「天泣道化」なんてやってるかもしれない冴夜木ヤトによる、気の向くまま萌えの向くままの、とっても腐女子向けなブログ。 参加イベント情報とか発行物情報とかが載るかもしれない。
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Posted : 2025/04/21 08:42
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Posted : 2011/02/25 17:26
いい天気だとか言ってたら今日は曇り+雨とか。
昨日より暗いし寒い。
お陰で出かける気力もなくごろごろしている怠惰な休日ですよアハハン←
こんな時こそなー、新しいゲームとかあったら一日どっぷり浸かれるのになーー。
ええそうですよ遙か5はまだ買ってません^^^^^^^
購入は鋭意検討中です。

なのでまあ、大人しく続きなんぞに取り掛かってみます。
いい加減長くなりすぎたんで、もうそろそろまとめたいんですけどねえ...。


※例によって例の如く、平家景時は捏造かつBLなのでご注意を!

ちなみに前回はこちらから~。
しかし見返しても見返しても誤字脱字を後から発見するんだ...orz


*********



夢でもいい。
幻でもいい。
貴方になら殺されたって、何をされたっていい。
だから、嘘だって言って。
何もかもがあの日からずっと続く悪い夢だったのだと。
お願いだからいつもみたいに笑ってオレを呼んで。
そのためなら、何だって出来るから。



折角改めて持ってきてもらった薬湯も、再び戻してしまうのではないかと思えば怖くて飲むことなど出来ず、申し訳程度に表面を舐めてすぐに枕元の盆の上に戻した。
身体が重い。
頭が働かない。
もうどれだけ碌に食べていないだろう。動いていないだろう。
力なく褥に横たわったまま、力ない笑みが零れる。
確かにこんな状態では「ちゃんと食べている」と言っても嘘にしか聞こえないだろう。
景時は、僅かに開けられたままの半蔀から吹き込む風の冷たさに目を伏せた。
幾許か火照った身体には、冷たい風が心地好い。
この熱が常態なのか、不調からくる発熱なのかさえ判然としないが、それもどうでもいい。

「将臣くんに、謝らないと、なあ...」

また、お前は悪くないから謝るな、と怒られるだろうか。
それでもこのままの状態が続けばいつか約束を破ることになる。破ったときにはもう、謝罪は届かないだろうから、先に謝っておいても悪くないだろう。
自分勝手な理屈だと苦笑を浮かべ、目を閉じた。
ゆらゆらと、部屋の隅で焚かれている香の香りが部屋に満ちていくのを感じる。
薬湯と共に弁慶が持って来たそれは、「良く眠れるように調合した」香らしい。
夜間の不眠まですっかり筒抜けになっている様に、否定するのも今更だろうとその時景時は大人しく頷いた。
深い眠りに誘うのであれば、何らかの薬草が含まれているのかもしれないが、強く香るのは景時にとっても慣れた白檀の甘さ。
そういえば、とうに身に纏った梅花の香りも薄れてしまった。
そんな事を考えたのを最後に、香りに誘われるように景時の意識は溶けていった。






『景時』

名を、呼ばれた気がした。
懐かしい、優しい声音で。
それだけで目元が熱さを増し、勝手に溢れた涙が頬を転がり落ちた。
重い瞼をいつ開けたのかも定かではない。
水分で歪んだ視界は薄暗く、どこに光源があるのか、橙の淡い光がちろちろと遠くで揺れるように世界を完全な闇から掬い上げていた。
小さく聞こえる衣擦れの音。
知っている、気配。
指一つ動かすことさえ億劫な体でどうにか動かした顔を、気配の方へと向ける。
水面を通して見るような視界の向こうに、闇に紛れて赤紅の狩衣の裾が揺れた。
知っている、衣だ。
平家の象徴色のように扱われる赤の色を、彼の人も好んで身につけていた。それは病床にあっても変わらず。

夢を見ているのだろうか。

そんな思いのまま、景時は視線をゆっくりと衣からその上、顔の方へと上げていく。
瞬きと一緒に溜まっていた涙が転げ落ち、突然清明になった視界に映ったのは、やはりここにはもう居ないはずの、人。

「...景時」
「しげ、もり...さま...?」

優しい、けれどどこか心配するような表情で、名を呼ばれ、これは夢だと確信する。
だってもうこの世のどこにも重盛はいない。
最期に立ち会った景時は、誰よりもそれを知っている。認めたくなくても。
だからこれは、夢だ。
優しくて、残酷な、夢。
伸ばされた重盛の手が頬に触れる熱さも、その感触も、まるで本物のような質感の夢は、それが現実的であればあるほど景時の胸を軋ませる。
これが夢なら、もう覚めないでくれ。
そんな弱気さえ擡げてくる。

「ふふ、いつぞやとまるで逆のよう、じゃの」

重盛が笑う。
そう。かつては病床にある重盛の傍で、景時がその世話をした。けれど今は。
重盛の手が頬から額へと移り、額に散った前髪を掻き上げる。

「...熱がある。水はちゃんと摂っておるのか?」
「しげ、もりさま...だめ、です...」
「ん?」

返答ではない言葉に重盛が首を傾げる。
当てられたままの手を、離してもらおうと手を持ち上げて添えるが、重盛は離す気がないようで動かない。

「オ...わた、しに、触れては...穢れて、しまい、ます...」

夢の中でも。
たとえ本物でなくても。
それでも貴方はオレの尊い人。
穢れない、穢してはならない人。
こんな穢れた身に、触れてはいけない。触れさせてはいけないのだ。

「馬鹿を申せ。ぬしの何が穢れだというのだ。何一つ、穢れてなどおらぬ。私の愛い景時のままじゃ」

だから安心して触られろ、とでも言うように、重盛の手が景時の頭を撫でていく。そのことにまた景時の瞳が潤む。
そうだ。この主は意外と頑固で、それでいて景時に甘い人だった。
どうすれば触ってはいけないと判ってもらえるのだろう。貴方に触れられる価値などもうないのだと。
ほろほろと流れる涙に困ったように微笑んで、重盛の手がその涙を拭う。

「それ以上水分を出してどうする。干からびてしまうぞ」

揶揄うように軽く告げておきながら、瞳の光がそれを裏切る。
重盛が心底心配してくれているのがただただ申し訳ない。
たとえこれが、夢の中、自分の浅ましい想いが都合の良い夢を見せているのだとしても、そんな顔をさせたくはなかった。

「ああ、薬湯があるな。ほら、少し飲みなさい」

触れるなというのを完全に聞かぬ振りで、重盛は器用に二本の腕の力だけで景時を褥から抱え上げて自らの胸に凭れ掛けさせた。殆ど力の入らない景時の抵抗など微塵も感じていないようで、口元に寄せられた器に、景時は力なく首を振る。

「のめ、ないんです...」

まさか重盛の前で吐く等という醜態を晒すわけにはいかない。
飲みたくない、ではなく飲めない、とはっきり告げる景時に、見えないところで重盛の表情が辛そうに歪められる。

「確かに、薬湯といえば苦いものじゃ。私も散々嫌がったからそれはよう判るが...ふむ、ではこれもまたあの時の逆、といけばぬしも飲む事が出来るかの」

言葉の意味を考えるより先に、景時の目の前から器が消え、頭上で小さく水音が立った。そして視線を上げるより早く、重盛の片手が景時の顎に添えられ上向かされる。

「しげ、も──んっ!?」

疑問の声は、深い口吸いに容易く飲み込まれた。
驚きに目を見開いて、もがき暴れようとする景時の動きも、体力が落ちきった身体では抵抗にすらならずに重盛に押さえ込まれてしまう。
ダメだ。
そう言いたいのに、口の中を蠢く舌が、少しずつ流し込まれる薬湯が、景時の言葉を奪う。
ただ必死で与えられるものを嚥下して、それが全てなくなってもまだ深い口吸いは続いた。
吐き気など感じる暇もなく、ようやく唇が離される頃にはその間を銀糸が繋ぐほどだった。

「──っ、しげもりさまっ」
「どうじゃ、飲めそうか?」

悲鳴のように名を呼ぶ景時に、至極真顔で問う重盛。
会話が通じないとはこの事か、それは夢でも変わらないのか、と一瞬ずれた事を考えながら、景時は力なく手を握り締めた。
多少の吐き気はある。
けれど重盛が口移しで与えた物を吐き出すことなど、どうして出来ようか。
無言が答えと知ったのだろう。
僅かに安堵した表情で、再び薬湯を含んだ重盛が景時に唇を合わせてくる。
しっかと掴まれた顎はそもそも拒否を許していないが、端から景時に重盛を拒否することなど出来るわけもなく。
深い口吸いを享受しながら、再びほろほろと涙を零し出した景時の眦を、優しい指がそっと拭った。

重盛様。重盛様。しげもりさま。

心が、身体が、全てがただ一人を求めて。
それは許されないことなのに、止められなくて。
いつしか縋るように衣にしがみ付いた景時の手を、重盛は咎めることなく優しく撫でてやった。
やがて急須に満たされた薬湯全てが景時の口の中に消えるまで、飽きることなく深い口吸いは繰り返され。

「っ...ふ、ぁ...」

すっかり気力を使い果たした様子で、もう触ってはいけないとも言えずに胸元に身体を預けきった景時を、重盛は愛おし気に見つめた。

「よう、頑張ったの。...無理をさせた。少し休みなさい」

涙の跡が残る目の上に優しく手を置く。
薄い橙の明かりさえ遮られ、景時の上に優しい闇が降りてくる。
残った体力を使い果たした景時は、闇が引き連れてくる眠りに逆らう術を持たない。

「や、ぁ...し、げ...り、さま...」

行かないで。
消えないで。
独りにしないで。

頑是無い童のようにこみ上げる思いを、呼ぶ名に乗せて衣を握り締める。
独り現実に残されるくらいなら、このまま夢の彼方に共に連れていってはくれないか。
再び溢れる涙に、目元を隠されたまま力強く抱きしめられる。

「ぬしが健やかに笑う顔を見るまで、残しては逝けぬよ」

大丈夫じゃ。また会える。
耳元で囁かれた言葉。
それが優しい嘘でもいい。
重盛が言う嘘ならきっと、真実になる。

その一言に縋るように頷いて、景時は意識を閉ざした。
甘い、甘い香りが、景時を再び眠りへと攫っていく。



どれくらいそうしていたか、やがて力の抜けた景時の手が衣から外れて力なく落ちる。
それを痛ましげに見やって、重盛は──否、将臣は目元に当てていた手を離した。
泣き腫らした瞳のまま眠る景時の目元に一度だけ口づけて、その身体を元通り褥へと横たえる。
身体を冷やさないよう肩口までしっかりと布団を着せ掛けて、空になった急須と器を持って静かに臥所を出た。

「将臣君」
「...ああ、起きてたのか弁慶」

待っていたように、夜の闇の中密やかに掛けられた声に、将臣は振り向いた。

「初日ですからね。首尾も気になりますよ」
「...たぶん、上手くいった、と思う。夢の出来事だと思ってんじゃねえかな」
「そうですか。それで...」
「薬湯は、どうにか飲ませきった。後は飯だな」
「液体より難しいかもしれませんが、薬湯が飲めたのなら、可能性はあるでしょう」

しかし、本当に雰囲気から何から似ている。
任せておけと頷く将臣の仕草に、全身を眺めた弁慶は浮かんだ言葉を胸に秘めて微笑みを浮かべた。

「お疲れ様でした。君もゆっくり休んでください。...香の効果は君に及びませんでしたか?」
「大丈夫、だと思うぜ。先にもらっといた中和作用のある茶のお陰だな。さすが弁慶様様だぜ」
「それはどうも。しかしあまり何度も使えるものではありませんからね。時間は限られていますが...」
「判ってる。その間に何とかするさ」

にっと笑った将臣だったが、次の瞬間には一瞬の無表情を経て、その視線を遠い空の先へと向けた。
今宵は新月。薄い星明りの中、将臣が呟く。

「あんなに必要とされてんのに置いて逝くなんて、重盛も馬鹿だよなあ...」

俺ならなにがあっても、絶対離さない。
その時には一緒に連れて逝くのに。

口には出されないその想いを読み取って、弁慶は静かに笑った。
そんな君だからこそ。

「重盛殿は君に景時を託したのでしょう。だから、ですよ」

そうか、と。
将臣もまた、音もなく静かに口の端を持ち上げたのだった。


>>続く?


という訳でようやく此処まできましたよ...!
もともと今回のメインネタが「食べられない景時に将臣が重盛の振りして口移し」だったのに、そこに辿り着くまでが(状況説明含め)長かった...orz
お約束とはいえ、これは外せないだろう、と!
しかしこんなに重盛に依存しちゃってる景時は、本当に将臣とくっつけるんだろうかとちょっと不安にならないでもない^q^←

えーと、多分纏め的な意味で、もう一回くらい続いて終わりになると思います!

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なんとか人間。
自己紹介:
遙か3の景時と4の風早中心に、腐女子的に萌え萌え言ってる人のブログです。
腐女子以外にはあまり優しくない内容が多くなると思われますので苦手な方はご注意ください。

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なお、プロフ画像はシノさんから頂いた頼朝様と景時。可愛くてハァハァするんだぜ!^q^
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