忍者ブログ
同人サークル「天泣道化」なんてやってるかもしれない冴夜木ヤトによる、気の向くまま萌えの向くままの、とっても腐女子向けなブログ。 参加イベント情報とか発行物情報とかが載るかもしれない。
 93 |  92 |  91 |  90 |  89 |  88 |  87 |  86 |  85 |  84 |  83 |
Posted : 2024/05/17 17:43
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted : 2010/04/28 00:25

書いてあるのはここまでー。
全体の流れというか、やりたいことは脳内にあったんだけど、それを文章に起こそうと思ったら、色々と煮詰めないと難しい部分がありすぎて、頭ぱーんてなって、とまっちゃいましたwww
ファンタジーで魔法もどきを使おうと思うと、それを系統立てるのがめんd...もとい、大変ですorz

よろしければ続きへどうぞ~。



 世界は言霊に満ちている。
 いや、満ちていた、というべきだろうか。かつての人々は、誰もがそれを知っていたし、その力を自在に操っていたと言われている。言葉には意味が宿り、意味には力が宿る。それを当たり前の事として享受していた筈の世界は、進化と共に齎された繁栄によって、徐々に力を失っていった。
 形ないものは、形あるものにその座を奪われ、軽んじられ、忘れ去られていったのだ。
 その世界で忘れられずに残ったもの。今も尚、言葉に宿る言霊を聞き、使うことの出来る者達がいる。
 ──人は彼らを畏敬の念を込め、『言霊遣い』と呼ぶ。


 自警団より先んじてヒキの街に戻ってきたハクヒは、その足で街にある言霊遣いの互助施設へと向かった。連れて来たカヒルを引き渡す為だ。
 街の中心部に程近い役所が連なる通りの一角に、その施設はある。数時間前に出たばかりのその扉を開くと、すぐさま視線が飛んできた。
「お疲れ様ですハクヒさん。ほぼ予定通りの帰還ですね。後ろに居るのが…」
「ああ、カヒルだ。後は任せる。詳細は報告書に記載しておくからそっちを読んで」
「了解しました。手続きが終わり次第依頼料をお支払い致します。支払い方法は指定された通常手続きで構いませんか?」
「ああ」
 では、と頷いた事務員が合図すると、控えていた言霊使達がカヒルを連行していく。それを見送って手渡された報告書を片手に建物の奥、休憩所へと移動する。ハクヒを追う様に幾つか視線が流れたが、気にするでもなくそれらを無視し、机の並ぶ一角で適当に腰を下ろした。
 備え付けのペンを手に取り、いい加減書き慣れた報告書に必要事項を記入していく。二年前までは、いつも文句を言いながら相棒がしてくれた事だ。日常の出来事に見え隠れする相棒の不在証明は、そのまま己の罪を自覚させる。二年経ってもそれは変わらず、薄れる事のない痛みは今も胸の隅にあり続け、棘を刺す。
 好機の視線と畏怖を隠しきれない視線。絶えず注がれるそれらは、言霊使の中にあっても自身が異質であるとハクヒに無言で突きつける。
 そんなもの、もう慣れ過ぎてなんとも思わないけれど。
「よーっす、ハクヒ。相変わらず不景気そうなツラしてんなあ」
 作られた場の雰囲気をぶち壊すような能天気な声。手元に落ちた影に、ハクヒは口元に苦笑を貼り付け見上げた。
「アンタは相変わらず、年齢不相応にガキ臭いですね、ソウツイ。──で、なんでアンタが此処に?」
 見上げた先には、無精髭を生やした逞しい体躯の男性。壮年にさしかかろうというその男は野太い声でガハハと笑いながらハクヒの肩をばしばしと叩いた。
「お前は相変わらず容赦ねぇ物言いだなあ。オジサンは悲しいぞ! 一応お前より年上なんだ、敬えガキ」
「三十近い男捕まえてガキとかどうなんです? 言うほど歳って訳でもないでしょうが。少なくとも精神年齢に至っては俺より低くても驚きませんし。敬われたければ、敬われるだけの事をしてくださいよ。まあ、敬語使ってもいいかと思う程度には敬ってるところを酌んで欲しいトコですけど」
 わざとらしく胸を張るソウツイに、呆れた溜息で返す。
 周囲の思惑など知ったこっちゃないとばかりに、顔を見れば気安く声を掛けてくるこの男を、ハクヒは決して嫌ってはいない。でなければ、こんなにも話すものか。
 ソウツイもそれを知っているからこそ、ハクヒの無礼な物言いを笑って見逃してくれるのだ。 
「なんだぁ、ツンケンしくさって。もしかしてアノ日か?」
「うっわ、最悪な下ネタ。女性に言ったらセクハラで訴えられる事間違いなしですね」
「お前相手だからこそ言ってんだろうが。で、どうしたんだ?」
 ニヤリと笑って向かいに腰を下ろすのを、溜息で受け入れる。こうなれば、理由を聞くまでは納得しないだろう。 
「大したことじゃありませんよ。此処は通り過ぎるだけの予定だったってのに、予定外のつまんない仕事入ったのがなんとなく不満なだけです」
「お前らしい面倒臭がりっぷりだが、まあしょうがないだろう。連盟府に籍を置く以上、回された依頼を正当な理由なく断ることも出来んもんだ。タイミングが悪かったと諦めるんだな。此処の奴等にしてみりゃあ、渡りに船だったかもしらんが」
「ま、はした金にはなりますからね。…で、もっかい聞きますが、アンタはなんで此処にいんですか。こないだ会った時、暫くはセーヒレンに留まるって言ってたと記憶してるんですが?」
 そろそろ話せとジロリと睨めば、ソウツイは肩を竦めた。
「それこそ別に大したことじゃないさ。お前さんに言った通り、暫くはセーヒレンに居たんだがな。此処に勤めてる知り合いの言霊使が今度結婚するってんでな、顔見せに寄ったのさ」
「それは…まあ、オメデタイことで」
 知らぬ人間の祝い事など興味も持てない。それを隠しもせず淡々と言葉を紡ぎ、思ったより下らない理由にハクヒは視線を報告書に戻して、止まっていた手を動かしだした。
「まあ待て。理由はそうだったんだが、そこで面白い噂を聞いてな。きっとお前さんも興味をそそられると思うんだが…聞きたくはないか?」
「聞きたくありませんねえ。アンタが面白いって俺に話題振る時は、大抵碌なもんじゃない」
「まあそう言うな。実はな、」
「ソウツイ…拒否権ないなら最初ッから話せってんですよ」
 拒否を気にせず話し続けようとするソウツイに、流石にハクヒが突っ込みをいれる。どこまでもマイペースに我が道を行く男は、笑ってスマンスマンと言いながら、やっぱり止める気はないようで話を続けた。
「これはどうやら木蓮州で起きたって話らしいんだがな」
「木蓮州の話がなんで火龍州まで流れてくるんですか。幾ら隣同士とは言え、州を跨ぐ程の噂なら、俺も知ってる可能性高くありませんか?」
「いんや、それはない、と思ってる。この話はまだ未確定情報として連盟府には上がってないはずだ。もし上がってりゃあ、間違いなくお前にお鉢が回ってくるだろうからな。お前が命を受けてないってんなら、それはつまりお前はまだ知らない可能性大ってこった。今は急ぎの用はないんだろ? ここで急な依頼引き受けてたくれぇだからな」
「まあ、それは認めますよ。…で、上層部に上がったら間違いなく俺に鉢が回ってくるっていう、その未確定情報?が、アンタのいう俺が興味を持つだろう噂な訳ですか」
「そーいうこった」
 頷くと、ソウツイは声のトーンを少し落とし、噂の内容を語り始めた。


「始まりは、半年近く前に遡る。セーヒレンに程近い森の中で、兄妹と思しきガキが保護された。猟に入ったセーヒレンの街のモンが偶然見つけたそうなんだがな、その二人はぼーっと突っ立ってたらしい。近くには他に何もないし、二人の服装も旅の物と見えない。何よりまだ保護者なしに旅に出るような年齢でもなかったってことだ」
「じゃあ、近くの街の…それこそセーヒレンの住人の子供じゃなかったんですか」
「ああ、勿論二人を見つけた猟師もそう思ったらしい。親の目を盗んで遊びに来たんだろうってな。ところがそうじゃなかった。二人に声を掛ければ、二人は初めて気付いたように猟師を見返し、辺りを見回して首を傾げたそうだ。そうして二人仲良く発した最初の言葉は「此処はいったいどこ?」ときた。これはもしや人攫いからでも逃げてきたのかと、猟師はとりあえず二人を街へ連れて戻った」
「…それで?」
「詳細は省くぞ。猟師は道中にも二人に色々と尋ねたそうだ。勿論街について保護されてからは、役人にも色々と聞かれている。それで判った事は、多いようで少ない。二人は自分の名前、互いの関係…つまり兄妹ってことだな、それ以外の事全て、覚えちゃいなかった。親のことも、今までいた場所のことも、何故森の中にいたのかも、何もかもだ」
「記憶を歪ませる程の恐ろしい目にあった、ってだけじゃあなさそうですね」
その通り、とソウツイが肯定する。
「二人の服は、決して綺麗なモンじゃなくてな。煤で汚れたような跡、兄の方は身体に幾つか打撲痕も見つかってるし、妹の服の端には血がついてた。どうにもこのまま何があったか確認しないままにもしておけないだろうと、セーヒレンの支部に協力の要請が来た。結果として一つの事だけが新たに判明した」
 ハクヒの視線がすっと細まる。
「支部が絡むってことは、二人の記憶の欠落に言霊遣いが関与してんですね」
「ああ。しかも、詳しい強度は判らんが、セーヒレンにいる言解士ではそれを解く事は不可能だった」
「セーヒレンの言解士といえば、確か最近CAランクに格上げになってましたね。じゃあ少なくともB以上の強度をもった言霊によるものか」
 頭の中で持っている情報をざっと洗い、さて、とハクヒは首を傾げる。
「とりあえず俺の覚えてる限り、懸賞金レベルの精神関与系言騙師はいなかったと思いますがね。しかも、それだけじゃあ言っちゃ悪いが大した事件と言う訳でもないでしょう? そこに他に何の要素が加わったんです」
「お前さんそんなもんまで頭に入ってンのか。大したもんだな。いや話が早くて助かる」
 行儀悪く口笛を吹いて、ソウツイは身を乗り出した。更に潜められた声が続きを告げる。
「セーヒレンの役人達が、兄妹に絡む事件がないか調査をしたが、めぼしい結果は得られなかった。その兄妹も一部の記憶を失くしている以外には問題もなく、ひとまずは孤児施設に預けられることになった。セーヒレンの支部では言霊遣いの絡む不審な事件として調査が続けられたが、勿論何の成果もなく、事は迷宮入りとなるかと思われた…が」
「類似した事件が起きた?」
「ビンゴ。それから数ヶ月後、今度はクリャナで同じような事が起きたらしい。まあその時保護されたのは一人の男性だったってことだが。自分の名前や日常生活動作なんてもの以外、すっかり真っ白になった男が発見された。それから数日後には、カホの村の近くで同様のケースが。そして調査してみれば、その誰もに言霊の働いた痕跡が見えるときた」
「セーヒレンにクリャナ、それにカホ…どれも木蓮州の中とは言え、距離がありすぎる。隣同士の街って訳でもないのに…」
「三つの事件が同一の理由によって生じたものかは、はっきりしない。偶然と言ってしまえばそれまでだ。だが、偶然と言い切るには類似点が多い。連盟府にゃあ、それぞれ別個として、言霊遣いの関与が考えられる案件で上げられてるだろう」
「……………なるほど」
「さて、ここでもう一つ噂がある。木蓮山脈の奥、古くからある名も無き村の噂だ」
 木蓮山脈と言えば、ここティエン国と隣国を仕切る険しく高い山脈だ。
「排他的な古い習慣に囲まれた暮らしを送るその村は、あまり他との交流の無い村だったんだがな。それでもぽつりぽつりと食料の買出しやなんやで麓の村に降りてきていたらしい。ところが、ここ数ヶ月、村人の姿を見かけなくなったそうだ。村にはいるのかもしれんがな、降りてくる姿を見たという者がいないらしい。村への道を知る者もなく、確かめる術もないとそのまま放っておかれているようだが…」
 そこで言葉を止めたソウツイが、窺うようにハクヒに視線を投げた。それを薄く笑って受け止め、ハクヒは一度手にしたままだったペンを置いた。
「確かに、興味深い話ではありますかね。それで、ソウツイ。アンタその辺の事はもう情報として上へ?」
「うんにゃ、それは俺の仕事でもないし、何より俺は今休暇中だからなあ。下手に推測並べ立てて、こっちに鉢が回ってきても困るんでな」
 あっさりと面倒事は御免だと笑い飛ばし、ソウツイが席を立つ。
「こーゆーのは暇してる若いモンに任せんのが相場ってもんだろう? ま、興味があるなら足を伸ばしてみるのもいいかもしれんぞ。退屈凌ぎくらいにゃなるだろうさ」
「別に暇してる訳じゃあないんですけどねぇ。まあ、面白い話をどーも、ソウツイ」
「こっちこそ、書きもんの邪魔して悪かったな。後数日はこっちにいるだろうからな。今度は酒でも付き合え」
「機会があれば」
 手を振り去って行くソウツイを暫く見送り、ハクヒは再び書類に向かった。手を動かしながら、頭の中ではソウツイの話を振り返る。
 推定ランクB以上の言霊使が関わっているかもしれない事件。
「紐解いてみるのも、それなりに面白そうだ。……行ってみるか、その村とやらへ」
 どうせ次に予定されている仕事まで、まだ日数は充分に余裕がある。ソウツイの言うとおり、ちょっとした退屈凌ぎにはなるだろう。
 目的地の変更を決めると、ハクヒも書類を書き上げて席を立った。


>>

続き、いつか書くことがあるかしら...。
お付き合いいただきありがとうございましたー♪

拍手

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (管理人しか読むことができません)
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
Admin / Write / Res
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新CM
[03/11 Deejay]
[03/11 Doc]
[06/05 華]
[06/05 ヤト]
[06/05 あさひ]
プロフィール
HN:
ヤト
性別:
非公開
職業:
なんとか人間。
自己紹介:
遙か3の景時と4の風早中心に、腐女子的に萌え萌え言ってる人のブログです。
腐女子以外にはあまり優しくない内容が多くなると思われますので苦手な方はご注意ください。

遙か中心ネオロマ特化SNS「遙紅花街」にも生息中。御存知の方はお気軽にお声掛けてくださいませ^^

なお、プロフ画像はシノさんから頂いた頼朝様と景時。可愛くてハァハァするんだぜ!^q^
バーコード
忍者アド
Copyright ©  天泣道化  All Rights Reserved.
*Material / Template by tsukika  *忍者ブログ [PR]