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同人サークル「天泣道化」なんてやってるかもしれない冴夜木ヤトによる、気の向くまま萌えの向くままの、とっても腐女子向けなブログ。 参加イベント情報とか発行物情報とかが載るかもしれない。
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Posted : 2024/05/17 19:11
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Posted : 2011/06/30 00:08
書くたびに、一話が長引いてる気がするっていうか、長引いてるよなああああorz
文章的には一回分は短くなってるようにも思うんですけど^q^
というのも、多分集中力低下が問題なんだよな、うん。
年々落ちていく(ような気がする)集中力を維持する方法を誰か教えてください←

とか戯言いいながら、続きです。

よろしければ続きへどうぞ~


***


「そのあと数日世話にはなったが、手を出したのはその一度だけだからな。後は、まあ一緒に寝た位だ。多少は寝やすくなったみたいだが、それでも何度も夜中に目を覚ましてたな」

気付かれたくない様子だったので、湛快は目を覚ます景時には気付かないふりで横になっていた、と重盛に告げる。
重盛は時折頷きながら話を最後まで聞き終え、一言そうかと呟いた。

「手を出したのは俺だし、重盛殿には黙っておくと言ったんだ。帰っても小僧っこを怒ってやるなよ? かと言って俺に当たられても困るが」

そもそも重盛が景時を中途半端に放り出して出かけたのが悪いのだと、開き直って重盛に視線をやった湛快は一瞬目を疑った。
何かを考え込む様子の重盛の口元が、確かに薄っすらと笑みを浮かべたのだ。
一瞬の、どこか狂気めいてさえ見えた笑みはすぐさま消え、重盛は立ち上がった。

「面倒をかけたな、湛快殿。これ以上景時が寂しがらぬうちに私も京へ戻るとしよう。なに、用事は全て済ませたのだ、後は急ぎ帰るだけよ」
「あ、ああ」

雰囲気に圧される様に頷いた湛快に、重盛が穏やかな目を向ける。

「ふふ、何か聞きたそうじゃが?」
「...そりゃあ、聞きたい事は色々あるがな。一言にすれば、何でこんな事をしたのかって所に尽きるだろうさ」
「何故、か...」

重盛は、ふ、と笑みを浮かべた。
それは先程湛快が見たものと同じような、歪な笑み。

「確かめてみたかった、のかもしれぬ。ただ、それだけじゃよ」
「確かめたかったって、だから何を──」

しかしその湛快の問いには答えず、重盛は背を向けた。

「後日、改めて礼を熊野に送らせてもらおう。今回は個人的な我が儘を聞いてもらって助かった。良ければ、私が戻ったらまた遊びに来てくれ」
「おい、重盛ど──」
「では、先を急ぐのでまたの、湛快殿」

いずれ、判ることもあるかもしれぬよ。
否を言わせぬ笑みでそれだけ言い置き、重盛が弟達の下へと戻っていく。
唖然と見送る湛快に、向こうで知盛が興味の欠片もなさそうな目で目礼し、重衡が申し訳なさそうに律儀に頭を下げて、そうして一行は静かに、だが今までよりも早い速度で京へと向かっていった。

「ったく、なんだってんだ...」

今度こそ頭を掻き毟って、湛快は遠慮なく唸った。
重盛の歪な笑みを思い返し、この件にこれ以上触れるのは得策ではない、とだけははっきりと感じ取りながらも、納得がいくわけでもない。

──いずれ、判ることもあるかもしれぬ

その重盛の言葉の意味が判る日が来るのかどうか。
それは歓迎すべき事なのか。
胸の内に疑問を押し込めて、湛快もまた熊野に戻る為に歩き出したのだった。






「おかえりなさいませ、重盛様」
「ただいま景時。留守居ご苦労じゃったの」
「いえ、私はなにも。忠度殿や経正殿に色々と助けていただきましたから。知盛殿も重衡殿もお疲れ様でした」

年下の弟達にも礼儀正しく接する景時に、重盛は汚れた手足を洗い流して下男に後始末を任せて声を掛ける。

「どれ、留守の間の事を色々と聞かせてもらうとするかの。おいで景時」
「はい」

弟達に礼をして、先に歩く重盛の後を足早に追いかける景時の表情は、重盛が屋敷を出る前と変わらないように見える。
それでも湛快から話を聞いていたせいもあるのか、景時を近くでずっと見続けてきた重盛だからこそ判るのか、疲労と、隠し切れない喜びを感じる。
湛快が帰った後は、またあまり眠れなくなったのかもしれない。
それに喜びを感じている自分を自覚しながら、久し振りに入った自室は出かける前と同じように美しく保たれていることに、不在の間の景時の仕事ぶりが判る。
女房が持って来た良く冷えた茶を片手に、仕事中はきっちりとした態度を守る景時が、向かいに座って重盛が居ない間の諸事について簡潔明朗に伝えるのを聞きながら、重盛はその姿をじっと見つめて余所事を考えていた。

旅に出る前、軽い風邪でも引いたのか体調を崩した重盛の傍で、つきっきりで看病をしていた景時は、そちらの方が病気なのではないかと思うくらい青い顔をしていた。
死病ではないというのに、重盛の症状に過敏に反応して、完全に回復したと薬師が太鼓判を押すまで、口では「重盛様が大丈夫と仰るなら」と言いながらもその泣き出しそうな目で訴えて重盛をきっちり療養させた。
その時初めて、重盛は思ったのだ。

もしも自分が死んだら、景時はどうなるのだろうと。

勿論、年齢を考えれば重盛が先に逝くのは間違いなく、そればかりはどうしようもないことだ。だがそれはまだ当分先の話であり、その頃には景時も今より大人になって状況は変わっているだろう。
だがそうではなく、もしも思いもよらぬ場面で、突然に、重盛が失われたら。
重盛という大樹を、その庇護を失った景時が、平氏の中で果たして上手くやっていけるのか。
勿論、重盛が景時を側付きにした当時と違い、今は景時の実力を認めて、その人格を好いてくれる人間も多くいる。自己評価の低い景時はそれに気付いていないようだが、今は別にそれで問題もない。
問題はそれよりも、景時の心だ。
幼いうちに景時を見出し、父に捨てられた景時をその代わりのように、否、それ以上に慈しみ、身内としてだけでない愛情を注いできた。
重盛の見立てどおり、景時は美しく、そして賢く健やかに成長し、誰よりも重盛を慕うようになった。
そうなるように、重盛が育ててきたのだ。
重盛が居なければ生きていけない程強く、重盛を想うように。
軽く済んだとはいえ病を得た時に改めてその事を実感した重盛は、同時に心配にもなった。
もしも突然重盛を失う事になったら、景時の心も壊れてしまうのではないか。
その考えは、当たれば恐ろしい事だが、同時にそれほどまでに心を傾ける景時が尚更愛おしくもなる。
それを確かめる為に、重盛は今回の長期不在を企んだ。
同時に、もし景時が重盛がおらずともやっていけるのなら──その時は悲しくはあるが有事の際には安心してその相手に景時を託せるということにもなる。

その相手として選んだのが湛快だった。
心根の優しい景時は争いを嫌う。武士であり陰陽術を扱う資質を持ち、恵まれた政治的感覚を持ちながらも、それを人を傷つける為に行使することを本当は嫌っている。
熊野別当である湛快は熊野の地を守る事にこそ力を注ぐが、他の地を侵略して勢力を拡大しようという意思はない。
その湛快の下でなら、重盛亡き後の景時も穏やかに暮らしていけるのではないかと考えたのだ。
だからこそ、一人不安に怯えているだろう景時のもとへ湛快を送ってみたのだが、結果は湛快が示したとおり。

景時には、重盛がいなくてはいけない。

その事実を改めて認める事になっただけだ。
けれどその事が重盛の心に確かに喜びを与えているのだ。
景時は重盛以外の誰のものにもならない。それが嬉しい。

...そう、もし自分が早逝することがあれば、その時は景時を連れて逝けばいい。

それが景時にとって一番の救いとなるのならば、その手段を選ぶことに躊躇はしないだろう。
他人が知れば、眉を顰めるような思考であることは理解しているが、重盛にそれを修正する気はない。
望むものに対しては幾らでも貪欲になる己の性格は、やはりあの清盛の息子なのだと鼻で笑うのみだ。

「...以上が、宗盛殿からの書類で...重盛様?」

不意に浮かんだ、会話の流れに不似合いな笑みに気付いた景時が、首を傾げる。

「いや、なんでもない。すまなかったな。それで大体終わりかの?」
「はい。残りの決裁はこちらになりますが、どれも急ぐものではありませんから休まれてから目を通されても問題はないかと」
「あい判った。では疲れを癒す為に、湯でも使うとしよう。...勿論ぬしも来るじゃろう?」

にっこり笑って、選択肢など最初からないも同然の問いを投げかければ、景時は僅かに顔を赤くしたあと、嬉しそうにはにかみ頷いた。

「お手伝いさせて頂きます」
「そう固くなる必要はないと言っておるに。共にのんびり疲れを取る事にしようぞ」

景時の柔らかい髪を撫でて、重盛は楽しそうに笑い声を上げた。




今はただ、これまで以上に景時に愛を注ごう。
いつか必ず来る別れの日さえ、悲しくなどさせない為に。
いつまでも、共にあり続けるために。



>>


終わったあああああああああ!!!!!!!!!!
ということで、執着~はこれで終わりです。
よかったよー無事?終わって。
重盛様が微妙にヤンデレですが、まあ平家景時における私の重盛像ってこんな感じですよ、というね←
一連の平家景時をお読みになられた方は既に御存知と思いますが、↑のように思っていた重盛様も、今後将臣の登場によって景時に訪れた変化を知り、最終的には将臣に景時を託すことを選ぶ訳ですが...まあその後も色々とまだ書いてない部分がある訳でw
これくらい執着してないと、ほら、この先○○の××で重盛様が△△になる説得力がないじゃないですかwwww

そんなこんなで、また暫く原稿優先するんで更新微妙ですが、平家景時はまだまだ続きますんで、気が向いたらお付き合い頂ければ幸いです^^
ここまでお読みくださり有難う御座いましたー!

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なんとか人間。
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遙か3の景時と4の風早中心に、腐女子的に萌え萌え言ってる人のブログです。
腐女子以外にはあまり優しくない内容が多くなると思われますので苦手な方はご注意ください。

遙か中心ネオロマ特化SNS「遙紅花街」にも生息中。御存知の方はお気軽にお声掛けてくださいませ^^

なお、プロフ画像はシノさんから頂いた頼朝様と景時。可愛くてハァハァするんだぜ!^q^
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