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同人サークル「天泣道化」なんてやってるかもしれない冴夜木ヤトによる、気の向くまま萌えの向くままの、とっても腐女子向けなブログ。 参加イベント情報とか発行物情報とかが載るかもしれない。
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Posted : 2025/04/21 07:07
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Posted : 2010/06/18 23:54
今日も今日とて好き勝手書き散らかしです。

色々捏造なので、詳細は以前の記事(http://tenkyu.side- story.net/Entry/138/)にて確認してくださいませ。

ちなみに好き勝手書いているので、時系列通りに話が展開していないことをご了承くださいませ^^←

今日は短めな予定~。予定は未定^q^
あ、ちょっとだけ流血・グロ注意ですので、苦手な方は見ないでくださいね!



****


「何処だ...何処にいる...? また、一人で泣いているのか...」

しん、と静まり返った平地にくぐもった声が木霊するように響く。
不気味なほどの静寂を乱すのは、足音と共に響く粘着質な水音。
周囲に立ち込める陰気が自然と人払いの役目を果たしているのか、この場には声の人物の他、生の気配を感じ取る事は出来ない。
否、正確に言うならば、声の人物の足元には、ほんの少し前までは人だったものが多数転がっていた。
今は単なる物と化したそれらを無造作に踏みつけ、新たな血を、肉を、巻き散らかしながら、人影は進む。何かを望むように、何かを探す様に。
人影の眼には、求めるもの以外は何も映されていないようだった。
邪魔するもの全てを薙ぎ払い、容赦なく血の海に沈め、浴びた返り血を気にする事もせずに、血生臭い風を全身に浴びて平地を彷徨う。

「何故、私を呼ばぬのだ...? おぬしが一度呼べば、私はすぐにでも...」

深い嘆きと苦しみ、痛みに満ちた声が魂の淵から吐き出されるような重さで場に満ちる。

「....き..」

その呟きを最後に、人影は闇に溶けるように跡形もなく消えた。
後に残されたのは、物言わぬ骸ばかり──







それと時を同じくした深夜。
鎌倉の自邸で身体を休めていた景時は、突然臥所から跳ねる様にして飛び起きた。

「──っぁ...、は...な、に...っ」

まるで戦の直後のような激しい動悸に、耳元で己の心の臓が跳ね回っているようにうるさく音が響く。身体の外にまで洩れ聞こえているのではないかと思うほどの鼓動に、夜着の胸元をぎゅっと握り締めて、じとりと湿った感触に酷い寝汗を掻いていることに気付いた。
叫び続けたように喉はからからで、唾を飲み込むことさえ一苦労だった。

「......ゆ、め...?」

掠れて聞くに堪えない声で、自分に確認するように呟いて、景時は否定するように首を振る。
判らない。
何も覚えていない。
少なくとも夢を見ていた記憶さえない。
ただ、残されたのは息さえ奪いそうなほどの圧倒的な絶望感と無力感。
それがどこから来るものかさえ判らないのに、まるで景時を責め立てるかのように心を軋ませるのだ。
首を振った拍子にころりと転がった雫で、どうやら泣いてさえいたらしいと気付いて、景時は乱暴に目元を袖で拭った。

最近、こんな事が増えている。
自分でも良く判らない何かが心を乱しているのか。夜中に突然飛び起き、訳の判らない感情に息を奪われ、涙が止まらない。
それは、多分あの青年に出会ってからだ、八葉として行動を共にすることもある有川将臣という青年に。
それまでにも極稀に似たようなことはあった。だがここまで頻繁に起こることはなかったから、景時もそう気にしていなかったのだ。
戦場に出れば人を殺すこともある。頼朝の命令で暗殺を行うこともある。
必要で行っていることだとしても、人間の良心の部分は痛みを覚えずにはいられないのだから、それが抑えきれなくなって溢れた時、弱い自分はこういう状況になるのかもしれない、と考えていた。
けれど、最近のこの覚醒は尋常ではない回数だ。
景時自身気付き始めている。この不調が必ずと言っていいほど、将臣と会った日に起きることに。

のろのろと立ち上がり、文机の上に置きっぱなしにしておいた水差しに直接口をつけて中身を呷る。
飲み込みきれず口の端から零れた水が喉を伝って夜着を濡らすが、どうせ寝汗で濡れた衣。着替えるのだから多少汚れが増えたところで変わりないだろう。
水差しの中身を一気に半分程呷ってようやく乾きが治まってくる。
その頃には動悸も正常値へ近付きつつあった。

「......なんだっていうんだ。どうして、君は...」

『景時...? 本当に、お前が景時なのか?』

安堵と、落胆に満ちた声。
気付けばこちらの動きを追っている視線。そこに込められた、狂おしいまでの何か。
曖昧に閉ざされた口は、いつも何かを問いたげにこちらを窺っている。
さっぱりした気性の将臣という青年からしたら違和感を感じる行動ばかりをこちらに向けられて、景時自身戸惑いを覚えずにはいられない。
将臣が平家側の人間だろうことは既に調べがついている。もしかしたら将臣も景時が頼朝の懐刀と言われる存在であることを知っていて、何かを探ろうとしているのだろうか。
ぐしゃぐしゃと乱暴に寝乱れた髪を掻き揚げて、景時は苛立たしげに溜息を落とす。

夜はまだ長い。
だがもう眠れないだろう。
こんな風にして目が覚めた後、眠れば今度こそ悪夢を見る。

眠る事を諦めて、景時は夜着から直垂に着替えると、長い夜を乗り切るべく邸を抜け出したのだった。


>>

という訳で、突然時間が飛んで景時が源氏に来てからのお話。
ここに至る経緯はまた書くこともあるかと思います^q^

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ヤト
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非公開
職業:
なんとか人間。
自己紹介:
遙か3の景時と4の風早中心に、腐女子的に萌え萌え言ってる人のブログです。
腐女子以外にはあまり優しくない内容が多くなると思われますので苦手な方はご注意ください。

遙か中心ネオロマ特化SNS「遙紅花街」にも生息中。御存知の方はお気軽にお声掛けてくださいませ^^

なお、プロフ画像はシノさんから頂いた頼朝様と景時。可愛くてハァハァするんだぜ!^q^
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