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同人サークル「天泣道化」なんてやってるかもしれない冴夜木ヤトによる、気の向くまま萌えの向くままの、とっても腐女子向けなブログ。 参加イベント情報とか発行物情報とかが載るかもしれない。
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Posted : 2010/05/18 01:10
頼朝と景時と書きつつ、今回は景時の独白っぽいもののみです。
短め、かな。


...ところで、某あゆのMicro/phoneという曲が、景→頼に変換されてしょうがない件について。
頼景熱上がってる時に、偶然耳にして、その歌詞のあまりの似合いっぷりにこれはもうアカシャだと悶えました。
よろしければ、ちょっと歌詞探してみてください^^
どっちかっていうと御家人景時ちっくかな。
あたし→オレ変換必要ですがw

「オレである意味や存在する意義を与えて教えてくれるのはいつもあなた」なんですよ!!! そんな頼景だっていいじゃない!!←落ち着けw


まあそういう訳で(どういう訳だ)、以下は続きというかなんというかです。

*****


大人になれば年が過ぎるのを早く感じるようになるというが、全くその通りだと景時は思う。
振り返ればそれなりに濃密な幼少時代はあっという間に終わった気がする。一日一日は短く感じられたのに、呆れる位色々と思い出せるほど一年は長かった。それに比べて一日が過ぎるのは昔より今の方が長く思うのに、それが一年という単位になった途端、過ぎれば瞬きの間のように感じられるのだ。
これは濃度の違いなのか、年を経て物の感じ方が変わったせいか。

もう、あの出会いから七年が過ぎた。

景時の脳裏に浮かぶのは、数日を共に過ごした貴種の少年の事。
伊豆に流されるための旅路。当時尾張国の目代としてかの地に赴任していた景時は、その旅路の数日を源氏の貴種と共にした。
何かを受け入れ、何かを諦め、何かを失くすことなく胸の内に宿したままの、凍れる炎を瞳に宿した孤高の狼。
生き延びればいずれ、その掲げる旗の下、その高らかな遠吠えに惹かれ集う仲間達を従えて、この国に変化を齎すだろう存在。そんな星の下に生まれついた貴種。
けれど、傷付き誰をも信用できなくなっていた小さな身体もまた、彼の本質なのだろう。
景時の語る祖の話に、嬉しさや誇らしさを隠し切れずに口元を緩めた姿。尊大な物言いの裏に見え隠れする拒絶への不安。
その事に気付いた時、景時は強く思ったのだ。
いずれ時が来たら、この類稀なる存在の助けになりたいと。かつて共に戦った先祖達のように、微力であれど自分も力を揮おうと。
訪れる新しい時代の為に。そこにある、平和の為に。

その思いは、どれだけ時間が流れても褪せることなく景時の胸のうちに居座り続けていた。
あの日から以降、景時はいずれを見据えての情報収集をこれまで以上に熱心に行ったし、家を継ぐ為止めることになった陰陽師としての修行も再開した。独学でやれることなど限度はあるだろうが、それでもしないよりはいいだろうと判断したからだ。
頼みの綱とも言えた重盛の死後、平家の内にある不穏な動きは目に見えて活発化した。そこに外法の気配を感じたのも、景時が陰陽術を習得していた故だろう。ならば今後、対抗手段として陰陽術を押さえておくのは必須だ。
陰陽師の元締めとも言える安倍が源平の諍いへの関与を拒絶している以上、武士でありながら陰陽術の使える景時の力は、望む望まずに関わらず重要な意味を持ってくるだろうから。

「あの選択が、こんな意味を持つなんて...きっと父上も想像だにしていなかっただろうな」

昼間と違って涼しい夜風を身に受け、皮肉めいた苦笑を零す。
争いなど出来る事ならしたくはない。
その思いは今でも変わらず景時の内にあるが、取り巻く環境がそれを許さない。
争いを嫌う心ゆえに武士として大成せぬと見限られ、素養が認められた陰陽師の修行にやらされたというのに、結果的にその陰陽師の力が今まで景時を助けてきた。そしてこれからも助けていくのだろう。
その力ゆえ、争いから離れられなくなるのだとしても。

「...七年、か。佐殿はどんな成長を遂げられたのか。宣旨に立ったということは...信頼に足るお味方を手に入れられたと思っていいのか」

周囲に己の他に誰もいない事を確認した上で漏れた呟きには、自分でも不安が滲んでいるのが判った。
状況は限りなく頼朝に不利。
三百騎余の頼朝軍に対し、今景時が所属する大庭軍は三千騎余。既に頼朝軍の後方には伊藤軍三百騎余が迫っている。
頼朝の傍にいるはずの実平には、秘密裏に式神を送った。うまく動いてくれれば、ここで頼朝が勝つことは不可能でも逃げ切ることは出来るはずだ。十倍に上る敵軍に恐れをなして、頼朝を裏切るものが出ない限りは。

こんな時は、力の足りない己が悔しい。
もしもっと強い力があれば、送った式神から向こうの状況を読み取って、適切に対処も出来たかもしれないのに。

「は...、ないもの強請りをしたところでどうしようもないって...判ってるはずなのにオレも成長しないな」

七年。
その時間が与えたものは、決して小さくないはずだ。
それは景時にとっても、頼朝にとっても。
ならば己の力、そして頼朝の可能性を信じるしかない。
闇に揺らめく無数の松明の向こう、夜の山に息を潜めているのだろう頼朝一行を思い、景時は目を伏せた。



この夜が過ぎれば新たな朝がやってくる。
運命の再会は、刻一刻と近付いていた。



>>

再会の前夜。
そして運命の石橋山へ。

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ヤト
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なんとか人間。
自己紹介:
遙か3の景時と4の風早中心に、腐女子的に萌え萌え言ってる人のブログです。
腐女子以外にはあまり優しくない内容が多くなると思われますので苦手な方はご注意ください。

遙か中心ネオロマ特化SNS「遙紅花街」にも生息中。御存知の方はお気軽にお声掛けてくださいませ^^

なお、プロフ画像はシノさんから頂いた頼朝様と景時。可愛くてハァハァするんだぜ!^q^
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