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同人サークル「天泣道化」なんてやってるかもしれない冴夜木ヤトによる、気の向くまま萌えの向くままの、とっても腐女子向けなブログ。 参加イベント情報とか発行物情報とかが載るかもしれない。
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Posted : 2010/05/16 18:45
今日はお仕事詰まってるので、ヒノ景の続きはちょっとおいといて(←そしたら何書こうと思ってたか忘れるんだぜ^q^)、とりあえずすぐアップ出来るやつを。

二つ前の記事に書いた、捏造頼朝と景時のお話です~
一応前記事のアドはこれ>>http://tenkyu.side-story.net/Entry/105/


色々と捏造なので、注意してお進みください~。

****


「...私が、ですか」
「他に誰がいると? 尾張目代であり、尊き平氏の血を汲む貴殿なればこそ、かの者の取り扱いについては適任であろうとの仰せ。入道殿の望むところを汲めぬ器ではありますまい。のう、平景時殿」
「......それが清盛公の仰せであれば、断る理由もありません。不肖の身ではありますが、謹んで勤めを全うさせていただく所存」
「よろしく頼み申した。追ってご子息も到着なさるだろう。以降の道行きについては貴殿に一任いたす。一刻も早く伊豆の地、北条の下へ届くよう、尽力されよ」

短い対面を終え、言うべきことは言ったとばかりにすぐさま暇を告げた先触れの使者を見送り、景時は痛みを覚えるこめかみに手を当てた。

「平氏の、ということがそんなにも重要視されることかなあ。遠く桓武天皇の血を引くといえど、むしろ我等梶原の誇りはかの鎌倉権五郎景政が後裔であること。少なくとも兄上はそう仰られていたものだ。それにはオレも頷くところがある。...流される佐殿は八幡太郎義家殿の血を継ぐ者。心情とすれば...」

若干齢十三で、血筋や政治の波に翻弄され、命こそ奪われずに済んだものの一人伊豆へと流されることになった頼朝をこそ、不憫に思うものだ。

平家でなければ人にあらず。
そんな風潮さえ生まれているこの淀んだ社会。そこここで生まれ、水面下で膨らみゆくのは平家への反発。それは貴族以外の階級の者ばかりでなく、朝廷の地位さえ危うくしかねない威勢はかの後白河法皇も危ぶまれて何かしらの措置を講じようとしているとの噂もある。
平家の体制はもはや磐石ではない。その事に一体どれだけの者が気付いているのか。

「重盛殿であれば気付いておられるのかもしれないが...今のあの方に、お父上を御することは叶わない...そうして清盛殿の暴走が続けば、遠からぬうちに平家は」

それ以上はさすがに口にするのが憚られた。
病を得て臥せりがちになりながらも、どうにか平家の為にと尽力を続ける重盛の心内を思えば、口にしていいことではない。

「世は一体どうなっていくのか...。このような時代に、オレに梶原一族の頭領なんて荷が重過ぎる。恨みますよ、兄上、父上...」

既にこの世にない者へ、冗談交じりに恨み言を呟いて、景時は溜息一つで気分を切り替えた。
使者の話では、そう経たないうちに頼朝一行が尾張へと入るだろう。
それまでにやることは少なくない。ぼやいている暇はないのだ。

「すまないけど、誰かこの尾張...それと伊豆までの道程に詳しい者を呼んでくれるかな。それから...」

控えていた部下に告げて、景時自身も準備に取り掛かるため、慌しくその場を後にしたのだった。


それから数日後。




「お初にお目にかかります。これより尾張を抜けるまでの道中貴殿の警護を仰せつかりました、梶原景時にございます」
「......よろしく頼む」

まだ小さな子供は一瞬目を見開いた後、皮肉気に唇を歪め、吐き出そうとした言葉を飲む込むようにして、一言零した。
護衛とは皮肉か。あわよくば殺されてしまえばいいと思っているのだろう。
そう言いたいのがありありと伝わってきて、景時としては苦笑を浮かべるしかない。
清盛が流すと決めた以上、それに反する行いは須らく清盛の意に刃向かうもの。清盛はそのような行為を殊の外嫌うのだから、頼朝が伊豆に着くまでは、他でもない清盛によってその命は保証されているのだという事は、説明したところで受け入れられるものでもないだろう。

「尾張を抜けるのは勿論、伊豆に着くまでには馬を使っても長くかかります。あまり気を張っていては身も心も保ちません。尾張を抜けるまではこの景時が、それ以降も伊豆に着くまでは私の身内の者が佐殿の身の安全を保証いたしましょう。何人たりとも、その身を害する事叶いません。ご安心を、と言ってもそれは難しいでしょうが、武士たるもの、いざという時に十全に力を発揮する為には、取るべき時に休息を取れることも必要でしょう。もう少し、肩の力を抜かれるといい。義家殿が末裔を、景政の末裔たる私が姦計をもって陥れることはないと誓いましょう」
「...お前が、景政の末裔と?」
「御意」

疑わしそうな目が、馬上から景時を射抜いた。
幼いながらも鋭い眼光は、まるで何者も信じぬ孤狼のよう。その体から僅かなりとも発せられる気は、他人を惹き付ける王としてのそれを確かに感じさせる。
武士でありながらも陰陽術を学び、気に敏感だからこそ気付いたそれは、景時の気持ちを高揚させるには十分だった。

この先生き延びる事叶えば、間違いなく彼は新たな王となるだろう。

「ですから、気楽に参りましょう」
「馬鹿な。それをどうして信じろというのだ」
「それはこれからの長い道のりの間に、佐殿に信じてもらえるようになればと思っておりますよ」

必ず信じてもらえるだろう。そう思っているのがありありと判る、どこか呑気にも見える景時の態度に、頼朝は暫くその顔を睨みつけていたものの、呆れた笑いのような溜息を一つ洩らして視線を前へ戻した。

「好きにせよ。...お前がその言葉に足りるかどうか、見極めてやる」
「ご期待に沿えるよう努力いたしましょう」
「ふん。まずは、そうだな...お前の祖である景政の話を聞かせろ。私の知る景政と同じかどうか、確かめてやる」
「御意のままに」

むすりとしたまま、それでも言い放たれた口調に僅かな期待を見て取って、景時は微笑んだ。
いかに気を張っていたといえ、相手はまだ幼い子供。
本来なら、何かに縋りたくても全く不思議ではない。

今は流されるこの孤高な貴種が、どうか独りではないと気付けますように。

やがて世界を変えるかもしれない王の卵を前に、景時はさて何から話そうかと口を開いた。


>>

捏造設定な頼朝と景時のイラストはシノさんからいただきましたvvv
いただきましたっていうか、うだうだ言ってたら優しいシノさんが呆れて描いてくださったというのが真相な気もしますがwww
アップしてもいいよって優しい言葉を頂いたので、合わせてもぞもぞSS作ってみた次第です。むしろ、この絵をアップするために頑張っt←


...というのがアップの時の記事まんまです。
ブログに移動させてもいーい? という質問にもシノさんから快く許可が出たので、絵ごとアップです~v
っていうか、絵がないとね! 文なんて絵のためのオマケですようへへvv

あと二回分ほどあるので、またアップできたらいいなあ。

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ヤト
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非公開
職業:
なんとか人間。
自己紹介:
遙か3の景時と4の風早中心に、腐女子的に萌え萌え言ってる人のブログです。
腐女子以外にはあまり優しくない内容が多くなると思われますので苦手な方はご注意ください。

遙か中心ネオロマ特化SNS「遙紅花街」にも生息中。御存知の方はお気軽にお声掛けてくださいませ^^

なお、プロフ画像はシノさんから頂いた頼朝様と景時。可愛くてハァハァするんだぜ!^q^
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